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時代の寵児の背後に見える孫一族の情念

『あんぽん 孫正義伝』佐野 眞一著 書評

 

『あんぽん 孫正義伝』佐野 眞一著

 

サイト管理人の評価

 

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ソフトバンク創業者孫正義さんの自伝をノンフィクション作家の巨匠、佐野眞一さんが書いています。

 

孫さんについての関連本は多く読みましたが、いずれも当然ながらビジネス面を主体にした記述がほとんど。

 

しかしながら、本書は孫さん一族のルーツに迫り、家族にフォーカスしているのが特徴的です。

 

本書タイトルの「あんぽん」とは、孫さんが1990年に帰化する前の旧姓、「安本」をそのまま音読みしたもの。

 

著書によると孫さんは中学時代、「あんぽん」と言われることをひどく嫌い、それは、その韓国風の発音が、自分の出自を隠して生きてきた孫さんの自尊心を深く傷つけたからなのだそうです。

 

本書を読むと、孫さんが子供の時に自分の生い立ちについて深く苦悩していたことを知ることが出来ます。

 

それは、朝鮮部落の出身であり、幼稚園時代には頭に石をぶつけられたこともあるほど。

 

さらには孫一族内の確執にまで踏み込んでおり、時代の寵児となっている孫さんの背後にある情念を感じ取ることが出来ます。

 

書かれている内容は孫さんもあまり公表したくない「黒歴史」のようなものなのではないでしょうか。

 

佐野さんは孫さんに4回のインタビューを行ったそうで、よくここまで立ち入ることが出来たなという印象です。

 

さらには、孫さんの父親にもインタビューを行っており、この父にしてこの子ありと思わずにはいられない共通点を感じます。

 

経営者としての才覚は遺伝や環境の影響を受けているのでしょう。

 

数ある孫さん関連本の中で本書は異色の存在となっています。

 

こんな人におススメ!

・孫正義さんの人物像を別の角度から知りたい人
・民族差別の実態をリアルに感じ取りたい人
・佐野 眞一さんによる重厚なノンフィクションを堪能をしたい人

 

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読書日:2015年7月

 

『あんぽん 孫正義伝』佐野 眞一著

 

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