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傑作『哀愁の町に霧が降るのだ』から30年後の小川いっぱい小説

『新宿遊牧民』椎名誠著 書評

 

『新宿遊牧民』椎名誠著

 

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私の初めての椎名誠作品体験は『哀愁の町に霧が降るのだ』であったと記憶しています。

 

江戸川区のぼろアパートで今をときめくイラストレーターの沢野ひろしさんや弁護士の木村晋介さんらとの共同生活。若さならではの暴れっぷりや恋や悲しみ。

 

すっかりこの作品にハマった私は、自分も大きくなったら共同生活をしてみようと憧れたものでした。

 

本書はこの『哀愁の町に霧が降るのだ』の流れをくむシリーズで、大河小説(本人は「小川いっぱい小説」と命名)のような形式で様々な登場人物が現れます。

 

今回は既に椎名さんが作家として活躍し、『本の雑誌』立ち上げ後の時期からスタートしています。

 

映画製作や三角ベース、夏のやまがた林間学校などの時期が話の中心になっており、ちょうどこの頃、椎名さんのファンになり、椎名さん監督作『白い馬』など映画館に行き鑑賞していました。

 

私にとって、リアルタイムで楽しんでいた時期の椎名さんの裏事情のようなものがつかめて楽しく読むことが出来ました。

 

相変わらず好奇心の赴くまま、元気にあちこちに興味を持たれ行動されているんだなという印象です。

 

ただし裏側にある影の部分も今回は書かれており、インパクトのあるものでした。

 

最後の監督作品であったオムニバス形式の短編映画の興行が惨敗。

 

ホネ・フィルムが解散に至ったこと。

 

そして、現在お亡くなりになっている方が少なくないことです。

 

このシリーズはまだまだ続くのでしょうが、今回のように寂しいエピソードもこれから増えていくのであろうなと思うとやはり悲しさを覚えます。

 

引き続き「小川いっぱい小説」を最後まで読んでいきたいと思います。

 

こんな人におススメ!

・90年代からの椎名誠ファンの人
・『哀愁の町に霧が降るのだ』が好きな人
・映画製作の実情を知りたい人

 

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読書日:2015年7月

 

『新宿遊牧民』椎名誠著

 

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