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実利を求めて役立つ読書をする技法を伝授

『功利主義者の読書術』佐藤優著 書評

 

『功利主義者の読書術』佐藤優著

 

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著者の佐藤優さんは同志社大学大学院神学研究科修了の後、外交官としてご活躍されました。

 

主に対ロシア外交の最前線で活躍し、ロシアとの関係を深めたことから「日本のラプスーチン」との異名を付けられるまでになりました。

 

佐藤さんの名が一気に世に出たのは、2002年に鈴木宗男氏に絡む疑惑が浮上したことに連座する形で、背任容疑で逮捕された時です。

 

この時、鈴木宗男氏は徹底的に叩かれましたね。

 

執行猶予付きで有罪判決を受けていますが、佐藤さんは一連の容疑・判決を「国策捜査」であると主張しています。

 

現在は作家としてご活躍され、書かれたノンフィクション作品は数々の賞を受けています。

 

本書タイトルの「功利主義者」とは、功利・効用を生活の究極基準とする考えを意味します、つまり、読書を通じて「実用的な学び」を得ることをこの本では目標としています。

 

冒頭で佐藤さんはこのように述べています。

 

読書には、大きな罠がある。特に、読書家といわれる人がその罠に落ちやすい。

 

読書はいわば「他人の頭で考えること」である。従って、たくさんの本を読むうちに、自分の頭で考えなくなってしまう危険性がある。

 

ここで薦める佐藤さんの読書法というのは、本に盛り込まれている叡知を自分の頭で考え、抽出するというやり方。

 

つまり、楽しむための読書ではなく、学びを得るための読書というわけです。

 

本書では、様々な本をテキストに学びを抽出しています。

 

例えば、『カラマーゾフの兄弟』から交渉術を、『ロング・グッドバイ』から人間の本性を見抜くテクニックを、日本の閉塞状況を打破するための視点を『新約聖書』から学ぶといった具合です。

 

中でも秀逸なのは、漫画家伊藤潤二作の『うずまき』から資本主義の本質を探ること。

 

「不況は繰り返される」という資本主義の構造を『うずまき』から読み解くというのはなかなか常人では出来ないことでしょう。

 

全体的に難しい内容が多く、理解しきれない箇所もありましたが、佐藤さんはとても頭の良い方なのだなという印象を受けました。

 

同じ本でも読み手によって吸収度合いというのは全く異なってくるものなのでしょう。

 

その意味において、自分なりの読書術をマスターすることは大切なことなのかもしれません。

 

様々な本がテキストとして取り上げられていますが、捉え方の視点が普通と全く違うということに感心いたしました。

 

こんな人におススメ!

・読書から学びを得たいと考えている人
・違った視点で読書の仕方があることを知りたい人
・知識・教養を得たい人

 

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読書日:2014年5月

 

『功利主義者の読書術』佐藤優著

 

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