読書の楽しさを伝えるための日々の記録

トップページ【評価順】経済・金融の本> 【読書感想】『新・日本のお金持ち研究』橘木 俊詔 森 剛志

富裕層と疑似富裕層を分けるもの

『新・日本のお金持ち研究』橘木 俊詔 森 剛志著 書評

 

『新・日本のお金持ち研究』橘木 俊詔  森 剛志著

 

サイト管理人の評価

 

スポンサーリンク

 

著者の橘木俊詔さんと森剛志さんは現在、大学の経済学部教授。

 

本書は国税庁が発行している『全国高額納税者名簿(2005年から非公表)』から年間納税額3000万円以上の層を「日本のお金持ち」と定義し、アンケートを配布。

 

「日本のお金持ち」の実態に迫るという内容です。(2009年10月刊行)

 

タイトルに「新」と銘打っているように、前著もあり、この時はお金持ちの職業や資産形成、税金についての調査を行っています。

 

今回は前著でわからなかった「お金持ちは何を考えて、どう行動しているか」を解明することをテーマにアンケート結果を解析しています。

 

取り上げている項目としては、下記になります。

 

・お金持ちはどんなところに住んでいるのか
・お金持ちの消費スタイル
・お金持ちと学歴
・教育で残すか実物資産で残すか
・お金持ちの資産運用
・お金持ちを上流階級とみなせるか
・お金持ちは格差をどう感じているのか

 

そして最後にまとめと結論を伝えています。

 

全体としては「お金持ちはこのような行動をしているんだろうな」という想定の範囲を超えるデータはなかったかなという印象。

 

同じような行動を取るとお金持ちに近づくことが出来るのかもしれませんね。

 

但しいくつか印象に残ったことがあり、まずそもそも日本では格差はさほど大きくなく、ドラスティックに超お金持ちというような人はあまりいないんだなということ。

 

アメリカのような超巨大豪邸を持って…というようなレベルの大金持ちはほとんどいないのです。

 

格差はそこまで広がっていないというのは、良い面であると感じます。

 

また、資産形成において日本のお金持ちは株式よりも不動産投資を好むとのこと。これは他国と比較した時に真逆の傾向になります。

 

この理由として著者は、株式ほど大きな変動リスクがない点や、長期的・安定的な収益が見込める点、相続上の優遇税制が存在する点などを挙げています。

 

日本人は投資に関しても安定志向が強いといえるでしょう。

 

そして、一番納得できたのは「富裕層」と「疑似富裕層」を比較した時、後者のほうが購入意欲が高いという点。

 

真の「富裕層」は豪華絢爛な「ぜいたく品」を買いまくるといったことをせず、むしろ資産運用などに熱心になっているという点。

 

筆者はこの理由について「疑似富裕層」は、高級ブランド商品などを他人に見せびらかすことによって、自分がお金持ちであることを知ってもらいたい欲望が強いのではないかと推測しています。

 

このことは巨万の富を築いた本多静六の貯蓄哲学をみても十分に納得できるところです。

 

私も前者に近い金銭感覚ですので、この想いが強化されました。

 

一度、日本のお金持ちはどのような行動様式を持っているのかを知っておいて損はないでしょう。

 

こんな人におススメ!

・年間納税額3000万円以上の富裕層の共通項を知りたい人
・日本のお金持ちの資産形成方法を知りたい人
・これからお金持ちを目指し参考になる情報を探している人

 

スポンサーリンク

 

読書日:2014年7月

 

『新・日本のお金持ち研究』橘木 俊詔  森 剛志著

 

サイト管理人の評価