トップページ > 【評価順】エッセイの本> 【読書感想】『随筆集 一日』西村 賢太
性愛の遍歴を明かす『色欲譚』が読み応えあり
『随筆集 一日』西村 賢太著 書評
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西村賢太さんは私小説を書く小説家。『苦役列車』で芥川賞を受賞したことで一躍有名になりました。
『人もいない春』という本を読み、めっぽう面白かったのでしばしば西村さんの作品を読んでいます。
先述した通り、西村さんは私小説の書き手なのですが、ご自身の半生が波乱万丈であり、その生き方そのものが魅力になっているという印象。
中学生の頃から不登校になりそれからは肉体労働でその日暮らし。
度重なる賃料延滞や2度の暴力による逮捕歴など、昭和の文学者というイメージで「作家として」好感がもてます。
近年はテレビにも出演していますが、トラブルで降板したりするなどなかなか稀有なキャラクターであるなと感じます。
本書は西村さん2冊目の随筆集とのことで、様々な記事を集めています。
芥川賞受賞にまつわる話の他、日本ハムファイターズファンだった過去や、高田文夫さんの熱烈なファンだったことなど、作品には出てこなかったエピソードが出てきます。
ご自身が作家になるきっかけとなり、目標としている私小説家藤澤清造への深い敬愛ぶり(隣に生前墓を建てたとか!)もよくわかります。
そして、本書の目玉は後半にある『色欲譚』にあるといえます。
スポーツ新聞に連載されていたものだそうですが、ご自身の性愛の遍歴を明かしており、何だか戦後の状況を読んでいる気がします。
ここまでアケスケに書いてしまっている西村さんはやはり常人ではありません。
内容を考えると女性は拒絶反応を起こしてしまうかもしれません。
しかしながら、これだけ強烈なキャラクターが小説家として存在するという事実は嬉しいことであり、これからも西村さんの作品を楽しもうと思ったのでした。
こんな人におススメ!
・破天荒な生き方をしている文学者の随筆を読みたい人
・私小説家の考え方を知りたい人
・作家の性愛遍歴を読みたい男の人
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読書日:2014年4月
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