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60作品の「消された理由」を紹介。圧倒的な取材力に脱帽
『消されたマンガ』赤田 祐一 ばるぼら著
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本書では、作者の意図とは無関係に、何らかの外的要因によって、市場から抹殺されてしまった60本の封印作品を紹介しています。
年代別に章立てされており、「1940〜1966年」「1970〜1979年」「1980〜1989年」「1990〜1999年」「2000〜現在」と幅広い年代の作品を扱っています。
また、最終章は「証言」として、消された漫画の作者自身にインタビューを刊行しています。
対象作品は『のらくろ』『サザエさん』『ブラック・ジャック』『ちびまる子ちゃん』『こち亀』といった名作から、マイナー作品まで様々。
「消された」という定義は、連載時に問題になり、単行本化する時に外されてしまったいわくつきのエピソードや連載が強制終了されてしまったといったことなどを指しています。
有名作品にもいわくつきのエピソードが存在するというのは驚きで、例えば『サザエさん』には朝日文庫版の時に削られたエピソードが15点ほど存在するそうです。
そのなかには、「人食い人種」を書いたことが問題になったものもあり、当時は表現が実におおらかであったのだなと感じます。
消されたり、連載中止になった理由は様々なのですが、作者がまったく意図していなかったのに、炎上して大問題に…なんて話を聞くと、何が地雷になるかわかったものではなく、運の要素もけっこう大きいんだなということがわかります。
このようなことはこれからも出てくるのでしょうね。
しかしながら、全体的に本書はよくここまで調べることが出来たなあと感心してしまいます。
特に古い時代の作品の取材などは、本当に大変だったのではと推測します。
また、1940年から現在まで実にバラエティ豊かで様々なジャンルの作品が生まれてきたのだなと感慨深いものがあります。
各時代の漫画家が創意工夫を重ね、作品を生み出し続けてくれた。
お蔭で私たちは、これからもたくさんの面白い漫画に出会うことが出来ますね。
脈々と続く漫画群に圧倒されました。
こんな人におススメ!
・1940年から現在までどのような漫画が生まれたか知りたい人
・漫画のエピソードや作品がどのような経緯で消されるか知りたい人
・有名漫画の消されたエピソードを知りたい人
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読書日:2015年7月
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