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本性をむき出しにした女性の姿と遊郭経営の仕組みがわかりとても面白い

『飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白』杉坂圭介著 書評

 

『飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白』杉坂圭介著

 

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タイトルにある「飛田」は、大阪市西成区にある旧遊郭の名残をとどめる歓楽街のこと。

 

外側は料亭街になっているのですが、料亭内での客と仲居の自由恋愛をすることで、売春防止法を逃れているエリアになっているのだとか。

 

著者の杉坂圭介さんはそこで10年間料亭経営を行い、その時の体験を綴ったのが本書になります。

 

風俗は全く行かないのですが、このようなお店の経営というのはなかなか出来るものではなく、興味を抱き読んでみました。

 

結論を先にいうととても面白く読めました。

 

杉坂さんは元々は繊維製品卸問屋に勤務しており、遊郭の経営とは全く縁がなかったそうです。

 

しかしながらリストラに遭い、失業中だった時に、高校時代の先輩に声をかけられ、経営の誘いを受けたのが発端だったとのこと。

 

まったくの素人による経営体験となっており、作者と同じ目線で読むことが出来ます。

 

飛田のエリアは独特の仕組みになっているそうで、そのシステムは興味深いものでした。

 

現在の日本においてとてもアナログであり、大正時代の雰囲気が色濃く残っているという印象です。

 

また秀逸だったのはお店で働いている女性に対する記述。

 

働いている女性達は様々な事情を持っており、女性同士の喧嘩やトラブルもしょっちゅう。

 

彼女たちに向き合いマネジメントするのは、本当に大変なのだろうなと同情してしまいました。

 

稼げる子の特徴、稼げない子の特徴という記述があり、下記のような内容になっています。

 

【稼げる子の特徴】
・笑顔がよい
・馴染みがつく
・プロ意識
・目的がある
・親のために

 

【稼げない子の特徴】
・自分勝手
・金のことしか考えない
・ホストにはまる

 

これらの傾向は、一般社会の仕事においても共有する部分があるでしょう。どんな種類の仕事においても共通項はあるものなのだと感じました。

 

ちなみに飛田にいた子は、普通は社会へ戻れないとのことですから、その代償はやはり大きいものなのでしょう。

 

杉坂さんは現在は女の子のスカウトマンをやっているそうで、10年間遊郭の経営を行いくだびれてしまったのだそうです。

 

本書に書いてある数々のエピソードを読むとそりゃそうだよなと思います。

 

現代の日本にはこんな世界が存在するのだと知り、杉坂さんのような貴重でとても刺激的な経験に触れることが出来、とても興味深く読むことが出来ました。

 

こんな人におススメ!

・遊郭経営に興味を持った人
・仕事で女性との対応にヒントを得たい人
・様々な世界に触れてみたい人

 

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読書日:2014年9月

 

『飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白』杉坂圭介著

 

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