『坂の上の雲』その後の物語
『ひとびとの跫音』司馬 遼太郎著 書評
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司馬遼太郎さんの名作『坂の上の雲』は私が最も好きな小説の1つであり、既に3回は読み返していると思います。NHKのスペシャルドラマも視聴済です。
本書は『坂の上の雲』の後に執筆されたもので、同作品の3人の主人公の一人、正岡子規の親族について綴られています。
小説というよりは司馬さんの取材過程も詳しく載っているエッセイに近いスタイルです。
本書の主人公は子規の妹正岡律の養子で、阪急電鉄の車掌、阪急百貨店の職員だった正岡忠三郎という人物。
さらに、その友人で元共産党運動家だったぬやま・ひろし(西沢隆二)らとの交友を中心描いています。
厚い本ですが、司馬さんの巧みな文章力に引き込まれ最後まで面白く読むことが出来ました。
歴代の司馬作品の主人公に比べると格段に知名度は落ちます(裏主人公はやはり正岡子規ということになるのでしょう)が、登場する方々も信念を持って生き、魅力を感じます。
何よりも司馬さんの彼らへの深い愛情を感じるのです。
正岡子規の影はやはり物語につきまとい、『子規全集』の編纂に関する記述も出てきます。
彼らの功績があるからこそ、正岡子規は今もなお注目され続けているといえます。
名もなき人々ではありますが、それぞれの人生を真っ当に生ききっている。人間に対する慈しみを感じさせてくれます。
こんな人におススメ!
・『坂の上の雲』が好きな人
・晩年の司馬遼太郎作品を読んでみたい人
・無名の人物の人生に触れてみたい人
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読書日:2015年3月
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