ワリキリを行う彼女たちの本音
『彼女たちの売春(ワリキリ)』荻上 チキ著 書評
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上野に行くと、出会い喫茶の存在を見かけます。
売春(ワリキリ)の巣窟なんだろうなと思われるのですが、果たしてどのような人々が利用しているんだろうかという疑問がありました。
そんな疑問を解き明かしてくれたのが本書になります。
著者の荻上キチさんは政治経済から社会問題まで、幅広いジャンルで取材・評論活動を行っている人物です。
荻上さんは数年に渡り、現代(2012年11月刊行)の女性でワリキリを行っている女性を取材したそうです。
本書は100人を超えるワリキリ女性へのインタビューがメインになっており、東日本大震災で被災した地域にも足を運び、ワリキリを続ける被災女性の話も集めています。
他、買う側の事情や出会い喫茶のルーツなども載せています。
本書から彼女たちの本音が見えてきます。
ワリキリを行う要因は貧困問題などの社会問題が絡み、仕方なしに行っていること。
そしてやはりSEXは好きな人とやりたいと感じていること。そして、多くの人が病んでしまっていること。
背後には、親の虐待、学歴、離婚、シングルマザー、ギャンブルなど今の社会問題の縮図のようなものが存在しているということが理解出来ます。
これらのことは表にはなかなか出て来ない、日本のダークサイドともいえる事象です。
それは現代社会の歪みの表れであると感じます。
簡単に「止めろ」というだけではすまされない事情が見え、考えさせられることが多いです。
恐らく、社会の仕組みを変える必要もあるのでしょう。
それは全く簡単な事ではないのですが、野放しにしておくことは決して良いことではないと感じました。
こんな人におススメ!
・日本の売春事情に潜む暗部を知りたい人
・ワリキリをしている女性達のインタビューを読みたい人
・綿密な取材の見本を知りたい人
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読書日:2014年12月
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