中国指導部独特の力学により中国は動く
『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』遠藤誉著 書評
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ここで述べている「チャイナ・ナイン」とは現習近平指導部の一つ前、胡錦濤国家主席を筆頭としたトップ9人の国家指導部のことを指します。
現在の習近平筆頭の指導部は7人態勢となり、2013年3月14日にスタートさせています。
本書は2013年3月16日に出版されており、チャイナナインから次世代の体制、さらには次の20年を見据えた権力予想、そして中国の行く先を述べたものになっています。
著者の遠藤誉さんは中国春長市に生まれ、中国語が堪能。
中国政府顧問、客員教授として招聘も受けているほどの人物であり、中国の政治事情にかなり精通している方なのだそうです。
本書を読むと、中国指導部は共産主義青年団OBを中心とした胡錦濤派(団派)と、江沢民を中心とする上海閥(江派)、及び高官の子弟であり保守的な太子党による権力争いが脈々と続いていることがわかります。
大枠として「中国共産党体制の維持」というのは派閥の枠を超えて固持されているそうです。
そして、そこには我々には理解しえない独特の力学が形成されているようです。
読んだ感想としてはこの独特の権力構造は国民感情を無視したものであり、極めて自己中心的な政治を行っているように映ります。
目線の先は国民ではなく自身の保身ともいえるでしょう。
本書によると既に2023年の指導体制を見据えた権力抗争が既に始まっているそうで、私たちにもまだなじみの薄い胡春華、周強、孫政才というような名前が挙げられています。
今後の中国の政治事情を把握するにあたり、あらかじめ知っておきたい情報が詰め込まれた一冊となっています。
こんな人におススメ!
・中国上層部の権力闘争の構図を知りたい人
・20年後に向けた中国指導部の流れを把握しておきたい人
・中国の対日方針に対する考え方を知りたい人
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読書日:2014年12月
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