心に傷を持つ人々が集うコーヒー店で起こるハートフルストーリー
『珈琲屋の人々』あらすじ
物語は「初恋」で始まり「再恋」で終わる―。東京のちいさな商店街にある喫茶店『珈琲屋』の主人・行介は、あることで人を殺した。
当時、行介の恋人だった冬子は別の男性と結婚したが、行介が出所すると冬子は離婚していた。冬子に何があったのか…。
※アマゾンより
『珈琲屋の人々』書評
池永 陽さんの作品はだいぶ前に『コンビニ・ララバイ』を読んだことがあり、面白かった印象があります。その印象があったのチョイスしてみました。
この作品について調べてみると、ドラマ化され、さらには続編も出ている模様。
池永さんの代表作の一つといえるのではないでしょうか。
本作品は、殺人の前科を持つ宗田行介がマスターを務める喫茶店『珈琲屋』が舞台になっており、各章毎に心に傷を持った様々な人物が訪れて、出来事が展開するという短編連作形式となっています。
確かにこの構図はテレビドラマ化しやすいなあとも思います。
そして、この宗田行介も冬子という一途に愛する女性がおり、この2人の仲は各章共通のトピックスとして描かれています。
物語のジャンルとしては「人情噺」といえ、全ての登場人物はみんな「いい人」で、その「人の好さ」ゆえにうまく世の中を渡ることが出来ず、不幸な境遇に陥ってしまう。
そんな状況において、宗田行介と出会うことがきっかけとなり、変化が生まれてくるというのが各ストーリーの基本ラインです。
ストーリー自体は大きなひねりはなく淡々と進み、その分各人物の心情をじっくり描いています。
様々な恋愛の形態があり、人間は恋愛なしには生きられないということを考えてしまいます。池永さんらしい物語といえるでしょう。
もう少し、ストーリー自体で楽しめたらなと思うものの、人間の素晴らしさ・優しさについて触れられ、こんな物語も時には読みたいよなと感じさせてくれます。
こんな人におススメ!
・優しい気持ちになれる物語を読んでみたい人
・人間の機微を丁寧にじっくりと描く小説を読みたい人
・恋愛の切なさについて感じてみたい人
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読書日:2015年12月
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