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警官学校小説。新聞広告の宣伝につられて読んでみたが…

『教場』長岡 弘樹著 書評

 

『教場』長岡 弘樹著

 

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『教場』あらすじ

長岡弘樹の『教場』は、警察学校が舞台。風間公親が担任をする教場(学級)にて事件が起きる。

 

その事件を風間が攻略する。六つのエピソードで構成されている。 

 

第一話「職質」
平田と宮坂は、職務質問が下手だった。ある日、平田は宮坂を部屋に拉致し、心中を図ろうと実行する。  

 

第二話「牢問」
楠本しのぶは、死んだ恋人の仇を討とうと警察学校に入った。そこに、恋人を車ではねた犯人がいるからだ。名前は岸川沙織。岸川に、脅迫の手紙が届くようになった。  

 

第三話「蟻穴」
鳥羽は稲辺と仲が良かった。ある日、校舎でボヤ騒ぎがあった。状況証拠から稲辺が疑われた。稲辺は、当時、鳥羽と一緒にいたと証言するが、鳥羽は分からないとうその証言をした。稲辺は、鳥羽に復讐を企てた。  

 

第四話「調達」
警察学校には持ち込み禁止の物がある。樫村はそれを持ち込み、学生同士の間で交換していた。樫村は級長の日下部に点数、つまりは成績を調達することになった。  

 

第五話「異物」
由良は蜂が苦手だった。パトカーを運転中、スズメバチが目の前を飛び回った。たいした事故にはならなかったが、安岡の仕業と由良は思考し、彼に仕返しをしようとするが...。

 

第六話「背水」
都築はこの頃、体調が思わしくなかった。風間は、「そのような体では警察官は難しいので辞めろ」と言った。 都築は辞めないとこたえると、風間は、「それなら自分を納得させてみろ」と述べる。

『教場』書評

この本は以前、新聞広告で大々的に宣伝されていた記憶があり、機会があれば読みたいと思っていました。

 

今回、改めて調べてみたところ、本書は『週刊文春ミステリーベスト10 2013年』にて第1位に、『このミステリーがすごい! 2014年版』にて第2位にランクインされたそうです。

 

そのため、たくさん広告をしたということなのでしょう。

 

というわけで期待して読んでみたのですが、結果的には期待値に届かず、残念な印象です。

 

そもそも読む前は長編小説だと思っていたのですが、構成は警察学校を舞台にした短編集でした。

 

一つの出来事に対しじっくりと多くのページをさいて、解決に向かっていく話かと思っていたので、その時点で拍子抜け。

 

また全体のストーリーの方向感がわからず、一体、これらの物語はどこに着地させようとしているのだろうと、興味が散漫になってしまいます。

 

大きなストーリーの骨格が欲しかった。

 

各短編で出てくる登場人物が魅力に欠けていた点も気になる所でした。警察学校で学んでいる生徒は欠陥を持っている人が大半で、さすがにそんな人ばかりではないだろうという印象。

 

魅力的なキャラクターに登場してもらいたかったです。

 

短編という形式にして、全体の柱が見えず、興味を持ってストーリーを追い続けることが出来なかったというのが感想です。

 

こんな人におススメ!

・ミステリー小説が好きな人
・警官学校小説という新しいジャンルを読みたい人
・短編集を気楽に読んでみたい人

 

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読書日:2015年12月

 

『教場』長岡 弘樹著

 

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