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ケーブルテレビの普及に貢献した商社マンの回顧録

『J:com創業記』西村 泰重著 書評

 

『J:com創業記』西村 泰重著

 

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著者の西村泰重さんはケーブルテレビ事業を手掛けるジュピターテレコム(J:COM)の初代社長。

 

元々は住友商事の社員であり、会社の設立時に住商が出資した関係で、代表に就任されました。

 

西村さんは、ニューヨーク勤務をしていた時、ケーブルテレビと出会い、このサービスを日本でも浸透させようと考えるきっかけになったそうです。

 

日本にケーブルテレビを普及させた功績を持つ人物といえるでしょう。

 

私のマンションにもJ:COMが入っていますが、ケーブルテレビの文化はだいぶ日本に根付いていると感じます。最近はCMでも多く見かけますよね。

 

そんなJ:COMですが、導入当初は、とても苦労されたのではないかと思い、本書を手に取ってみました。

 

この手の本は、立ち上げたサービスが軌道に乗るまでの苦難やブレークスルーポイントなどを期待してしまうのですが、残念ながら、そのあたりの内容は薄かったかなというのが正直なところ。

 

それはつまり、著者が商社マンとしての身分を保証されており、リスクを負うという点が読み手にとって、希薄に感じてしまったからかもしれません。

 

そんな中、本書で特に印象に残ったのは、日本とアメリカのやり方の違いについて。

 

日本は新規ビジネスを小さな規模でスタートさせる傾向にあり、うまくいけば拡大させるという方法を取ることが多いそうです。

 

一方、アメリカは最初から大きな投資でビジネスを開始する。

 

しかし、徹底ルールも当初から決めており、一定額の赤字が出たらすみやかに撤退するのだとか。

 

もし、大きなビジネスチャンスが見込める事業が出た時に、どちらの方法の方がシェアを握れるかは一目瞭然でしょう。

 

インターネットなどスピードの速い業界において、いつもアメリカが先に行くのはこのような気質の差というものが大きいのだと感じました。

 

撤退に対する価値観が両国では大きく異なるのかもしれません。

 

ビジネスを手掛ける際、このような気質の違いを念頭に置き、先入観にとらわれず、最適なアプローチで取り組む必要があると考えた次第です。

 

こんな人におススメ!

・日本には馴染みのないビジネスモデルを導入する奮闘記を読みたい人
・ケーブルテレビが国内でどのように浸透したか知りたい人
・日本とアメリカのビジネスの取り組み方の違いを知りたい人

 

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読書日:2015年12月

 

『J:com創業記』西村 泰重著

 

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