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政治家を見る目を養うために参考になる本

『私を通りすぎた政治家たち』佐々 淳行著 書評

 

『私を通りすぎた政治家たち』佐々 淳行著

 

サイト管理人の評価

 

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著者の佐々淳行さんは、国家地方警察本部(現警視庁)に入庁し、防衛官房長、防衛施設庁長官などを歴任された人物。

 

あの「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」では、警備幕僚長として危機管理に携わりました。

 

本書は数々の政治家に接してきた佐々さんによる政治家の人物評。

 

2014年に刊行されており、最近の政治家についても評されています。

 

また、佐々さんは恐らく本書が自分の最後の刊行物になるだろうとも述べています。

 

実際に身近で政治家を見てきた方の人物評というのは、マスコミには出てこない、エピソードも多く、とても興味深いものなのですが、本書はその期待に十分応えてくれ、最後まで強い関心を持って読むことが出来ました。

 

冒頭において、佐々さんは独自の政治家観を語っています。

 

それは、政治家には、「ポリティシャン(政治屋)」「ステーツマン(政治家)」が存在するというもの。

 

ステーツマン(政治家)は、権力に付随する責任を自覚している人。

 

強烈な責任感を持って、公益・国益のために身を挺して実行することであり、これが本当の政治家であると主張します。

 

一方ポリティシャン(政治屋)は、権力に付随する利益や享楽を追い求めてしまう人を指すと語ります。

 

ちなみに、佐々さんは「近年は政治屋が増えている」と嘆いています。

 

本題では実にたくさんの政治家を評しています。ざっと、主に取り上げられている人物は下記の通り。

 

戦後、そして現代を築いた大物政治家

吉田茂
岸信介
佐藤栄作
中曽根康弘
石原慎太郎
小泉純一郎(都知事選出馬での「原発反対」運動では晩節を汚したと論じる)

 

国益を損なう政治家たち

小沢一郎
菅直人
田中角栄
加藤紘一
河野洋平
三木武夫
村山富市

 

憎めない政治家たち

浜田幸一
上田耕一郎
安藤仁兵衛
不破哲三
大出俊

 

海外からの賓客、海外の大物たち

エリザベス女王
ガガーリン
ライシャワー
フォード
アマコスト
李登輝

 

同志たる思いを託した政治家たち

細川護熙
後藤田正晴
福田一
冬柴鉄三
平沼赳夫
扇千景

 

将来を期待したい政治家たち

石破茂
安倍晋三
小泉進次郎
長島昭久

 

このようにみると、世間の評判とほぼ同じ評価になっている印象。

 

意外なのは、「政治屋」に分類されてしまった、田中角栄と三木武夫ですが、田中角栄は金権政治の部分、三木武夫は実行力のなさを断じています。

 

総じてみると目先の支持率におもねることなく、私利私欲を捨て、たとえ支持率を下げても、大局的な国益のために果敢に行動する人物を佐々さんは評価しているのだなということが感じられました。

 

現状、期待したいのは安倍晋三です。

 

支持率が下がるとわかっていながらも次々に大きな改革を断行する姿は、私心のない存在であると佐々さんは論じています。

 

久しぶりの長期政権下にある日本。

 

これからも大変なことは多いでしょうが、平和に安心して過ごせる土台作りを期待します。

 

こんな人におススメ!

・表には出てこない有名政治家の数々のエピソードを知りたい人
・政治家のどこを評価するべきか知りたい人
・これからの日本の政治について考えてみたい人

 

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読書日:2016年01月

 

『私を通りすぎた政治家たち』佐々 淳行著

 

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