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マネジメントの重要性を様々な事例を引用して説明。かなりの説得力。

『高学歴社員が組織を滅ぼす』上念 司著 書評

 

『高学歴社員が組織を滅ぼす』上念 司著

 

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著書の上念 司さんは評論家。金融、財政、外交、防衛問題に精通しています。

 

時折、ラジオ番組で上念さんの解説を聞いており、一度著書を読んでみたいと思っていました。

 

本書の副題は「脆弱なマネジメント」と「暴走する現場」の失敗の法則。

 

概要としては、「マネジメントがうまくいかないといかに組織が駄目になるか」を様々な事例を引用して伝えています。

 

事例は、最近のビジネス。

 

2015年6月刊行で、業績低迷にあえぐマクドナルドや親子の内紛があった大塚家具などが紹介されています。

 

そして、もう一つ。太平洋戦争の事例も数多く載せています。

 

読んでみると、軍部幹部の責任逃れの判断がいかに悲惨な状況を生み出したかがわかります。

 

上念さんの文章はとても論理的で説得力がある。

 

学生時代は弁論部に所属されていたそうで、理路整然と書かれています。

 

本書にインパクトがあった主な個所は下記の通り。

 

・「真の不確実性」に不断に挑まねば滅びるのみ。トヨタもグーグルも「真の不確実性」に立ち向かう企業だった

 

・デフレが続くと予想した「すき家」はアルバイト大量離脱に直面。誤りを認められないマネジメントは、まるでインパール作戦のよう

 

・ねつ造による信頼喪失、部数、広告減により、朝日新聞はもはや逆転不可能な状態にある

 

・人とケンカしたくないというヘタレた根性が、正しい結論を捻じ曲げる

 

・大戦で陸軍は戦争に勝つことより、既存の組織をいかに守るかに汲々としていた

 

・脆弱なマネジメントは「べき論」を振りかざして達成不可能な目標を設定する

 

・永遠だと思われていた儲けのしくみも、必ずいつか破綻する

 

つまりはマネジメント層は、しっかりと時代の変化を読み取り、自己保身に陥ることなく、時には非情な決断も必要であるということ。

 

高いスキルと無私の心、正確に情勢を読み取ることの出来る力。

 

ある種の才能と素質が必要ということなのでしょう。

 

一見当たり前のことではありますが、失敗事例は本当に多いのです。

 

組織の上層部にいて、客観的な判断が出来なくなってしまうという可能性がいかに高いかの表れです。

 

かくもマネジメント層の責任は重大で、相当な覚悟が必要。一歩間違えると組織全体を路頭に迷わせることになってしまいます。

 

マネジメントを行っている方には、是非読んでいただきたいです。

 

こんな人におススメ!

・「働く」ことについて気づきを得たいビジネスパーソン
・これからのワークスタイルについて考えてみたい人
・楽しく前向きに仕事がしたい人

 

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読書日:2016年1月

 

『高学歴社員が組織を滅ぼす』上念 司著

 

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