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ビルディングの中で生まれた交流。こんな繋がりも素敵

『路地裏ビルヂング』三羽 省吾著 書評

 

『路地裏ビルヂング』三羽 省吾著

 

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『路地裏ビルヂング』あらすじ

裏路地にある『辻堂ビルヂング』という古いビルが舞台の物語。

 

オムニバスの連作形式になっており、各階で起こるエピソードが各章毎に綴られます。

 

『辻堂ビルジング』に入っている組織

1F お食事処辻堂 何デモ、オイシイター
2F あおぞら保育園 安心の24時間保育体制
3F 辻堂塾 授業補習、中学・高校受験
4F HN不動産分室 お客様電話相談窓口
5F オーガニック・ヘルス(株) 健康食品&グッズ販売
6F 辻堂デザイン事務所 広告制作

 

主な登場人物

【瀬戸】
辻堂デザイン事務所入社2年目のデザイナー。体育会系営業マンの江草にしごかれ徹夜続き。覇気がない
【タイガ】
あおぞら保育園に通う4歳児。夜の仕事で稼ぐ母親の代わりに、同じビル内の塾に通う兄ヤマトがお迎え
【ユカリ先生】
あおぞら保育園の保育士。金髪にギャルメイク。すきあらば屋上でさぼっているが園児にはそこそこ人気
【ガンジャ】
1階の飲食店の国籍不詳従業員。看板が替わっても常にいる。本名はアヨブとか何とか…別にあるらしい
【ユースケ】
飲食店の主人らしいが、店を切り盛りするというよりは隅で落語を観たり居眠りしたりしている謎の老人
【謎の女性】
屋上のお嬢さん。植木に水を撒いたりビル清掃に参加したり1階で飲んでいたりするがどこの店子でもない。

 

最終章では、老朽化に伴い「辻堂ビルヂング」が取り壊されるエピソード。

 

ここで、ユースケや謎の女性の正体が明かされ、ビル誕生の経緯も知ることになります。

『路地裏ビルヂング』書評

三羽省吾さんという作家の方は、今回初めて知ったのですが、既に多くの作品を書かれているようです。

 

まだまだ勉強不足ですね。

 

本作品の舞台は『辻堂ビルヂング』という年季の入った古い建物。

 

6階建てで各階に会社や塾、保育園などが入っているのですが、各章毎にそれぞれの階で起きたエピソードが綴られていきます。

 

オムニバス形式なのですが、各階の交流がじょじょに深まり、やがて1階の飲食店が、交流の場へとなっていくのです。

 

私も社会人時代に働いていたビルでは、いろいろな会社が入っていました。

 

しかしながら、同じビル内の会社間の交流というのはほとんどなく、この物語を読み、こんなコミュニティの形成の仕方がうらやましいと感じました。

 

現実的にはなかなか起きないシチュエーションですが、憧れますね。

 

物語の中で、謎の女性や1階の飲食店で、いつも何もしていないおじいちゃんといった謎のキャラクターが登場しますが、これらの人々が、辻堂ビルヂング誕生の秘密に関わっています。

 

ビルの中に出てくる人物は皆、ぬくもりや温かみが感じられる、ハートフルなストーリーです。

 

特に劇的な展開はないものの、最後までするすると読み終えることが出来ました。

 

全編安心して、ユーモア感覚のある物語を読むというのも良いものですね。

 

こんな人におススメ!

・同じビル内の交流の物語を読みたい人
・ハートフルな物語を読みたい人
・1話完結がベースのオムニバスを読みたい人

 

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読書日:2016年2月

 

『路地裏ビルヂング』三羽 省吾著

 

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