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高田文夫さんの「お笑い」に対する愛情が注ぎ込まれている

『誰も書けなかった「笑芸論」』高田 文夫著 書評

 

『誰も書けなかった「笑芸論」』高田 文夫著

 

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放送作家界の重鎮中の重鎮で、『ラジオビバリー昼ズ』というラジオ番組のパーソナリティを1989年から続けている高田文夫さん。

 

私のイメージとしては、ビートたけしさんのそばにいて、たけしさんのトークに絶妙な合いの手を入れている人物という印象。

 

本書は、2015年に発行され、今のお笑い界を築きあげた、偉大な喜劇人達について、自らの交流録を交え、論じた内容となっています。

 

全部で3章に分かれており、1章は体験的「笑芸」60年史と題し、ご自身の体験をベースに、喜劇人を中心にコラムを書いています。

 

取り上げられているのは以下の面々。

 

・森繁久彌
・三木のり平
・青島幸男
・渥美清
・林家三平
・永六輔
・古今亭志ん朝
・森田芳光
・立川談志
・三波伸介
・景山民夫
・大瀧詠一
・坂本九
・脱線トリオ
・ハナ肇とクレイジーキャッツ
・コント55号
・ザ・ドリフターズ

 

私にとって、彼らを知った時は既に全盛期を過ぎていたので、そのすごさがわからなかったのですが、本章を読み、いかに世の中に大きな影響を与えた人々であったのかということがわかりました。

 

テレビ創世記に活躍した人ばかりで、当時はまだまだ、テレビの影響力が強い時代であったので、社会に与えたインパクトというのはとても大きかったのでしょう。

 

そして、若い時から、高田さんは彼らと交流を持っており、その高田さんが書いた、芸能の歴史というのは、とても貴重なものでした。

 

青島幸雄さんなどは、都知事時代、ずいぶん叩かれていたなという印象しかなかったのですが、テレビ業界では才能をほとばしらせ、「才能ある奴ァ何やったっていいんだ。履けるワラジは10足でも100足でも履いた方がいい!」とさえ豪語したとのこと。

 

政治家にならず、テレビ業界にずっと身を置いていたのなら、青島さんの評価はまた、全然違っていたでしょう。

 

また、渥美清さんが、まだ当時、若かった高田さん対し、「お兄さん、売れるよ!」と言ってくれたとか。

 

世に出る2年前の出来事だそうですが、天下の渥美清さんにこんなことを言われたら本当に嬉しいでしょうね。

 

第2章のタイトルは「ビートたけし誕生」。

 

高田文夫さんが、ビートたけしさんと出会い、その才能に触れ、世に出し、瞬く間に売れっ子になった時のエピソードが書かれています。

 

ビートたけしさんが登場した時の破壊力は相当なもので、たちまち若者たちは熱狂しました。

 

それほど才能の塊であったのであり、今後、ビートたけしさんのような影響力のあるタレントが登場するかというと、なかなか難しいところです。

 

お笑い業界も成熟してしまい、新しい出方というのはもう厳しいんじゃないかと思うのです。

 

そして、第3章は自伝的「東京笑芸論」と続きます。

 

お笑いの創世記は、開拓期であり、世間を大いににぎわせたのだなということがよくわかりました。

 

今のお笑い界はリスクがなくなっている分、大きなリターンもあまり見込めなくなっているように感じます。

 

そんな創世記の、もはや伝説ともいえるエピソードの数々を読めたのは、とても幸せでした。

 

こんな人におススメ!

・お笑い界のレジェンド達のエピソードを読みたい人
・ビートたけしの登場がどれほどインパクトのあるものだったか知りたい人
・歴史に残る喜劇人達の貴重な写真をみてみた人

 

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読書日:2016年3月

 

『誰も書けなかった「笑芸論」』高田 文夫著

 

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