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著者の極地への思い入れの深さが伝わってくる

『すてきな地球の果て』田邊 優貴子著 書評

 

『すてきな地球の果て』田邊 優貴子著

 

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著者の田邊 優貴子さんは、植物生理生態学者。早稲田大学の研究所で助教授の職にあります。

 

極地をフィールドにした研究者で、南極や北極をたびたび訪れており、生命の不思議さや素晴らしさを伝えるべく、講演や執筆活動も行っていらっしゃいます。

 

本書では、田邉さんが極地探検に興味を持ったいきさつや、北極・南極を探検した際の体験が綴られています。

 

田邉さんはある時期、「感動や情熱を抑え込むことをやめてみよう。」という決心をされたそうです。

 

これが、極地を旅し、研究する原動力になっているとのこと。

 

そしてその決断の理由の一つに、脊髄小脳変性症という遺伝性の難病があると語っています。

 

運動神経にかかわる脊髄や小脳が変性する病気で、祖母や母が老いた時に、じょじょに体の自由がきかなくなっているのを目の当たりに見て、「悔いのない人生を生きる」という想いを強くされたそうです。

 

もし自分が同じ立場だったとしたら、ここまでポジティブに受け止めることが出来たであろうかとふと感じてしまいました。

 

前向きな決断が出来る人物というのは、困難をもパワーに換えてしまう力を持っているということなのでしょう。

 

田邉さんは、南極調査に行く寸前に、血液検査にひっかかってしまい、一度は南極行きが困難な状況になります。

 

しかしながら田邉さんはあきらめきれず、何度も再考をお願いすることに。

 

そして、最終的に再検査を受けることが出来、問題なしとされ、南極行きが再び可能になります。

 

目的を達成するまでの情熱がすごく、目的に向かう行動力が半端ない方なのでしょうね。

 

本書の大半は、南極や北極での出来事について書かれています。

 

ずっと都心で暮らしている私にとって、ほぼ100%純度の高い自然環境の中での生活というのは、なかなか想像がつかず、このような環境の中で暮らし続けていたら、考え方まで変わってしまうのだろうなあと思ってしまいました。

 

淡々と描写が続くのですが、プロの書き手の本をたくさん読んできてしまっている私としては、その文章がちょっと退屈ではありました。

 

とはいえ、世の中には、全く環境の異なるエリアがまだまだたくさん存在しているのだということを思い知らされました。

 

こんな人におススメ!

・南極・北極に興味がある人
・情熱を持って生きる人の行動を学びたい人
・バックパッカーをしている人

 

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読書日:2016年3月

 

『すてきな地球の果て』田邊 優貴子著

 

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