バブル時代の面影を残す、華やかな不倫遍歴
『不機嫌な果実』あらすじ
32歳のヒロイン水越麻也子(みずこし まやこ)は、結婚して6年目になる夫・航一(こういち)との生活に不満をつのらせ、昔の恋人である野村と不倫の逢瀬を重ねる。
ある時、野村には別に若い愛人がいることが発覚するが、それでも野村との関係は続いて行く。
その後麻也子は、ふとしたことから年下の音楽評論家・通彦(みちひこ)と知り合い、交際がはじまる。
麻也子と通彦は次第に深い仲となり、ついに麻也子は航一との離婚を決意し、通彦と正式に結婚する。
しかし、ほどなく通彦との結婚生活に幻滅した麻也子は、再び野村と密会するようになる。
ある日突然、麻也子は子どもを作ることを思い立ち、野村とホテルのベッドに入る、というところで物語は終わる。
※wikipediaより
『不機嫌な果実』書評
1996年の作品で、何度か映像化もされているようです。
また改めて今年の4月から再ドラマ化されるということで、本書を読んでみました。
時代の雰囲気を捉えることが巧みな林真理子さんらしく、バブル崩壊直後の時代とはいえ、まだまだバブルの面影が残る世界観。
主人公である主婦は夫に愛想をつかし、不倫を重ねるわけですが、今の時代にここまで開放的になることは少ないんじゃないかなと思うのです。
日本の歴史にあてはめると、平安時代の頃のような、楽しさとのびやかさがあった時代だったのではないでしょうか。
そして林真理子さんの作品だけに、実に細かく女性の気持ちを書いています。
女性の本音とはこんな感じなんだろうなと思うことしきり。女性にとっては、理想の世界の物語なのでしょうか。
ストーリー自体はゆっくり進み、主人公の内面をじっくり描くという方法。
刊行後も、ずっと読まれ続けているということは、やはりいつの時代でも支持をしている女性が多いということなのでしょう。
恐ろしい気にもなりますが、何となくわかる気もします。
「この物語の主人公のように自由奔放に生きてみたい」という女性願望があるのかなと感じました。
不倫の描写だらけで、途中、食傷気味になってはしまいますが、全体的に面白く、最後まで一気に読むことの出来る作品でした。
今の時代に、このドラマを再投入して、どのような反応が得られるのか、興味深いところです。
こんな人におススメ!
・女性の人、女性の秘めた願望を知りたい男性の人
・1996年の時代感を味わってみたい人
・長年支持され続けている物語を読みたい人
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読書日:2016年3月
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