1本の映画から仕事論を学ぶスキルを指南
『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』押井 守著 書評
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著者の押井守さんは、アニメ『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』などの作品で知られる映画監督。
近年はアニメだけでなく、実写映画も作られているようです。
本書は、押井さんが、面白いと思った映画と、そこから導き出したビジネスパーソンのための処世術を伝えていくという内容。
ちょっと、変わった切り口で映画を語っていきます。
押井さん曰く、劇場動員数やDVDの売上など、数字や評価を目的に戦う監督はほぼ間違いなく敗北するとのこと。
そうではなく、勝つための勝利条件はみんな個々で異なり、「負けないこと」が一番大事であると伝えています。
このあたりの言葉は実に深いです。
ご自身も語っていますが、失礼ながら大きなヒット作を生み出さなくても、30年以上監督業を続けられているのは、このように、独自の「勝敗論」を持っていることに起因しているようです。
さて、本書では、次の映画作品が紹介され、そこから何が学べるかが語られていきます。
・『飛べ!フェニックス』
聞かれていないことには答えるな!-美しい敗北は無意味
・『マネーボール』
経験と勘で語る人間は信用するな -ブラッド・ピットの優先順位
・『裏切りのサーカス』
「やりたいこと」は「飽きないこと」 -ナンバー2ほど心地よい
・『プライベートライアン』
サボタージュこそサラリーマンの最終兵器 -スピルバーグの詐術
・『田園に死す』
できる大人ほど自分の過去をねつ造している -気合いが入ったデタラメ
・『007スカイフォール』
「親父に一生ついていく」は使い捨てへの第一歩 -お母さんに愛されたい
・『ロンゲスト・ヤード』
囚人が問う「勝てるチーム」の絶対条件 -魂の自由を獲得せよ
この中において、『飛べ!フェニックス』と『ロンゲスト・ヤード』のロバート・アルドリッチ監督に興味を持ちました。
アルドリッチ監督の作品は、中くらいの規模の映画であり、大ヒットはしていないが、興行的にそこそこで、コンスタントに撮り続けたとのこと。
そして、これが押井監督が訴える、「勝敗論」に他ならないそうです。
このことは、どの仕事においてもそうかもしれませんね。
大成果ではなくても、「負けない」結果をコツコツを生み出し続ける。
それは、人の性質により様々ではあると思いますが、一つのやり方であると思いました。
押井さんのちょっと特殊な脳の構造を愉しむことが出来ます。
「こんな考え方もあるんだな」と興味深く読めました。
こんな人におススメ!
・個性的な映画批評を読みたい人
・押井守監督の映画論を知りたい人
・役に立つ映画を探している人
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読書日:2016年3月
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