等身大のキャリアウーマンが描かれていて好感が持てる
『編集ガール』あらすじ
高沢久美子は出版社に勤める27歳。といっても経理部員だ。
会社には秘密だけれど、単行本編集部に勤務する31歳の加藤学とは付き合って三年。そろそろ結婚の話も出ている。
ところがある日、ワンマン社長の長沼からいきなり新雑誌の編集長に任命された。以前、適当に書いた企画書が通ってしまったのだ!
女性ファッションの通販雑誌を自分で創刊するなんて、久美子にできるわけがない。
新編集部のメンバーは社内よりすぐりのツワモノばかり。
その上、彼氏の学まで部下になるなんて!素人ばかりの編集部は前途多難……
『編集ガール』書評
五十嵐貴久さんについては本書で初めて知りました。
すでに多くの作品を出されていらっしゃいます。
「編集ガール」というタイトルからして、出版業界で働くキャリアウーマンの物語ということがわかります。
この手のストーリーは楽しく読めるのでチョイスしました。
経理担当だった高沢久美子が突如、新規女性誌の編集長に抜擢。
しかも、社内恋愛をしていた彼氏が部下になるという導入はとても面白い。
私はマスコミで働いていた経験があるのですが、女性誌の立ち上げの過程もとてもリアル。
調べてみたら著者の五十嵐さんは、扶桑社で働いていたことがあるようで、その時の経験が生かされているのでしょう。
様々なキャラクターが登場し、どれも個性があってユニークなのですが、特に舞台となっている出版社の社長が秀逸。
ワンマン社長で丁寧な言葉遣いながらやりたい放題といった人物なのですが、いかにも中小企業にいそうなタイプで、思わず笑ってしまいました。
全編とてもリアリティのある話で、かつテンポよく、興味を持続させながら読み進めることが出来ます。
中盤、高沢久美子と彼氏の確執が起こり、まあ予想出来る展開なのですが、丁寧な描写のため、すんなり入り込むことが出来ます。
そして、当初はバラバラだった即席編集部メンバーがじょじょに結束していくあたりも、会社勤めの醍醐味を感じさせてくれる。
働くOLにとって、励みになる一冊といえるでしょう。
こんな人におススメ!
・仕事と日ごろ向き合っている女性の人
・出版社の内情について学びたい人
・読みやすく、かつメッセージが伝わる物語を読みたい人
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読書日:2016年5月
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