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『督促OL修行日記』榎本まみ著　書評

 

 

 

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著者は新卒で信販会社に入社し、キャッシング専門の督促を行うコールセンターに配属。

 

そこでの日々の仕事の体験記が書かれています。

 

「督促の仕事があるなんて今まで考えもしなかったし、借金の取り立てのような仕事なので確かに女性が働くのは大変そう」と思い、手に取ってみたのですが想像以上の過酷さであり、かなりの衝撃を受けました。

 

そもそもこの部署は新入社員のワースト人気ナンバー1だそうで、働く人もほとんど男性。

 

閉鎖的な部屋におしこめられ、感染症にもなりやすくまるで「強制収容所」だと語る筆者。そして、催促すると逆ギレする債務者から罵倒され恐れおののく日々…。

 

確かにこんな環境で働くとなれば誰でも心が折れてしまうでしょう。

 

またこの部署は退職者が続出するのだそうで、この本の中でも著者の同期や担当トレーナーなど次々と会社から去っていきます。

 

むしろ残り続けている著者の方がおかしいのではないかと感じてしまうほど。

 

債務者のとんでもないエピソードも豊富で、街宣車で信販会社に乗り込んで来たり、呪いをかけてきたり、女性に騙され続け借金を重ねていたり。

 

一般人にとってなかなか出会えないような人々と毎日出会うというのはかなりスリリングで刺激的なのだとわかります。

 

また、こんな過酷な状況な中において著者が督促のテクニックを徐々に身につけていく過程もすさまじい。

 

・いきなり怒鳴られたときに相手に反撃する方法
・厳しいことをいう時のツンデレ・クロージング
・「ごめんなさい」と「ありがとうございます」の黄金比

 

など、正直どこで応用して良いかわからない方法をいくつか紹介しています。

 

「人の不幸は蜜の味」といいますが、とんでもない職場環境で数少ない女性の1人として奮闘する姿を読んでいるととてつもなく楽しめます。

 

そして、これほど過酷な状況下でめげながらも明るく前向き、やけくそ気味に今なおこのお仕事を続けている著者は尋常ではないタフさを備えているのだなととても感心してしまいます。

 

普段の生活では絶対体験出来ないようなことをなぞらえる本という存在は、本当に素晴らしいものだと改めて感じます。

 

 

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読書日：2015年8月