爽快感溢れるスピーディーでスリリングなストーリー展開
『純平、考え直せ』奥田英朗著 書評
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作者の奥田英朗さんは好きな小説家の1人です。
奥田さんの作品には外れがなく、どれも十分に楽しめるエンターテイメント小説に仕上がっています。
奥田作品の真骨頂は目が離せないストーリーの転がし方にあると思います。
注目を浴びたデビュー2作目の『最悪』から一貫してエピソードがまた別のエピソードを呼び、さらに刺激的な展開を引き起こす、いわばジェットコースタームービーのような感覚で物語を楽しむことが出来ます。
但しラストはいつもアッサリいているのですが、読んでいる過程が何よりも楽しい時間を与えてくれます。
本書もそんな「奥田節」が炸裂した作品でした。
主人公の純平はヤクザの下っ端で21歳。組の親分から「鉄砲玉(人殺しの実行犯)になること」を頼まれ、実行に至るまでの3日間が書かれています。
その過程でたくさんの登場人物が現れ、純平に人殺しをすることを思い留まるように説得します。
ユニークなのはSNSでこの情報が拡散され、たくさんの人がこの状況を見守るようになること。
最後は人殺しをする予定の現場にまでこれらの人々が乗り込んでくるので、最後までハラハラドキドキさせてくれます。
また、興味深いのは今回はヤクザの世界が描かれており、人殺しをするまでどのような日々を暮らすことになるのかを知ることが出来ます。
人を殺した後はしばらく牢屋に入るため、組からお金をもらい美味しいものを食べたり、高級宿泊施設に泊まったりすることになります。
ヤクザ組織の権力闘争なども書かれており、興味はつきません。
このような知りえない世界に触れることが出来るのは本の醍醐味の一つです。
読んでいる間はどんどんとその先が気になり、ページをめくるスピードが自然と速くなるような力を持っている小説です。
こんな人におススメ!
・目が離せないストーリー展開を楽しみたい人
・ヤクザの世界観を知りたい人
・奥田英朗さんのストーリーテリングを参考にしたい人
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読書日:2015年6月
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