ラスト2ページの仕掛けに衝撃
『フォルトゥナの瞳』あらすじと書評
『永遠の0』『海賊とよばれた男』などベストセラー作品を生み出している百田尚樹さん。
当サイトでも『プリズム』という作品を紹介しましたが、「多重人格障害の男性に恋をする」という大胆な設定と見事なストーリー展開に感動しました。
百田さんの別の作品を読んでみたいと思い、本書をチョイス。そして、『プリズム』を上回る面白さで、夢中になって読みました。
表紙をめくると、百田さんの「この本を手に取った瞬間にあなたの『運命』が変わるかもしれません。」というメッセージが書いてありますが、それくらいのインパクトがありました。
主人公の木山慎一郎は幼い頃に両親と妹を亡くした孤独の身。
普段は、車磨きの仕事をしています。
そんな木山が突然特殊能力を身につけます。それは、他人の死を察知すること。
なぜか透明になっている人をみかけるようになり、その透明の人は最後は必ず死に至ってしまうのです。
最初は、透明になっている人を死から守ろうとして、実際に助けられるケースも出てきます。
死から逃れると、透明ではなく、はっきり見えるようになるのです。
しかしながら、木山は人を助ける度に胸に強い痛みを感じます・・・
やがて、同じ能力を持った黒川という医師と会い、人を助けると自分が大きなダメージを受け、それを続けるとやがて死に至ってしまうという事実を知ることになります。
身に付いた特殊能力はバグのようなものであり、人の運命を変えてしまうと天罰として自分の命が縮んでしまうというわけです。
自分を大事にするため、死ぬ運命の人を見つけても無視するか、もしくは自分の命を縮めてでも他人の命を助けるか・・・
非常につらく苦しい葛藤に悩みます。
やがて助けた女性の1人と恋人になり、また、大規模の電車事故が起きることを察知。
生き延びて彼女と暮らすか、自分の命を犠牲に大勢の人を助かるかの選択をすることに。
最終的に木山は多くの人の命を助ける選択をし、その衝撃で死んでしまいます。
そしてラスト2ページ、恋人だった彼女も同じ能力の持ち主で、木山の死を予見していたということが語られます…
もし自分が他人の死を予知出来て、大切な人の死を予見してしまったら・・・自分は自分の命を犠牲にして助けることが出来るのだろうかと思います。
どうしてもエゴが出て、保身にまわってしまうのではないかと感じざるをえません。
全体的にストーリーが巧みでミステリー要素が次々に出てきて、目が離せません。
ストーリー展開のうまさは百田作品の真骨頂ですね。
そして、「エゴと人を愛することの葛藤」というような深いテーマで心に響きます。
これぞ物語のチカラであり、醍醐味といった感じでした。
こんな人におススメ!
・面白く、心に響く物語を読みたい人
・『永遠の0』で感動した人
・「究極の愛」について考えてみたい人
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読書日:2016年10月
サイト管理人の評価
こちらの本もおススメ!
・『プリズム』百田 尚樹
・『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』安倍晋三 百田尚樹
・『星間商事株式会社社史編纂室』三浦 しをん