トップページ > 【評価順】旅・海外体験の本> 【読書感想】『北京食堂の夕暮れ』沢野 ひとし
中国の良さをしみじみと伝えてくれる
『北京食堂の夕暮れ』沢野 ひとし著 書評
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私は2014年に初めて中国に行き、翌2015年にも行きました。
それまでは、中国というとテレビなどで報じている、「反日国」というネガティブなイメージが強く、最初はビクビクしながら、しかし、興味津々で入国したのでした。
実際のところ、素朴で親身になってくれる多くの人々と出会い、「とても良い国じゃないの」という感想を持ったのです。
元々知人がいて案内してくれたのですが、一度相手の懐に入ると、人々は身内のようにふるまってくれます。
そんな体験をしたので、テレビ報道で流す中国はちょっと極端な面もあるんじゃないかなと感じるのです。
そして、本書ではそんな中国の良い面をしみじみと書いており、嬉しくなりました。
作者の沢野ひとしさんはイラストレーター。
椎名誠さんの昔からの友達で、子供の頃から椎名ファンだった私は、沢野さんの本も度々読んできました。
そのため、抵抗なく本書を手に取れたのですが、沢野さんが何度も中国に行っているのは初めて知りました。
本書は、台湾を含む中華圏の旅行記。
2010年の秋から2013年までの旅行を綴っていますが、2013年は尖閣問題や中国食品不信、鳥インフルエンザなど、とにかく日中の関係が冷え込んだ時期です。
そんな時でも沢野さんは恐れずに、ずんずんと中国に向かうのです。
ひねくれ者だからか、逆にこういう時こそ中国へ行こうと、神戸から船に乗り長旅を楽しんだ。※236ページ
本書は4章から成り、目次は次の通り。
1 宋さんのチェロ
2 黄河への旅
3 杭州の路地
4 高雄の女友達
美味しくて安い食べ物や、のんびりした雰囲気、独特の中華圏の文化などをじっくりと描き、沢野さんは中国の良さを知り尽くしているんだなということが伝わります。
まるで自分が旅行しているような感覚で楽しめるのが良いですね。
巻末に沢野さんは中国について次のように書いています。
私が中国に惹かれるのは、あの大雑把でおおらかで、時にいいかげんなところである。
そしてもう一つ、タイやネパールを歩いた時に感じた懐かしいアジアのにおいにも引き寄せられたからだ。(237ページ)
中国に行ったことのある人は、うなずける話ではないでしょうか。
良くも悪くも大雑把な所がある。
これを受け入れることが出来るか否かが、中国を好きになるかどうかの境目になるのでしょう。
こんな人におススメ!
・テレビ報道されない中国を知りたい人
・椎名誠ファンの人
・沢野ひとしのイラストを眺めたい人
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読書日:2016年11月
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