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チャレンジすることで得られる「心の財産」がある

『会社、辞めます。私、たこやき屋になります。』住本 由貴子著 書評

会社、辞めます。私、たこやき屋になります。―いつでも「今」が自分に賭ける時

1569円

サイト管理人の評価

 

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日本は起業する人が少ない傾向にあります。日本の起業率(開業率)は5%であり、アメリカの10%など他国に比べダントツの低さ。日本人はリスクを恐れて安定志向に走る気質があるのかもしれません。

 

そんな中この本の著者の住本由貴子さんはずいぶんと日本人離れをした行動力の持ち主です。そして、そこで得られたたくさんの経験はチャレンジしなければ得られなかった貴重なものばかりであり、挑戦することの楽しさ・素晴らしさを教えてくれます。

 

一般事務のOLとして2年ほど働いていた当時22歳の住本さんは突如、退社し「たこやき屋」を始めることに。商売経験も開業資金もなく直観のみで物事をすすめるというものすごくフットワークの軽い方なのです。しかし、その「たこやき屋」は思いもかけず大盛況!約5年間の営業で十分な利益を出し、店をたたみ東京へ出ていくまでの内容が書かれています。

 

本書は開業を行うにあたっての手順がわかるので、開業の手引書のような側面も持っています。そして、何といってもお客さんやお店周辺にいる人物とのいろいろなエピソードが面白いです。お店のある場所は福岡の繁華街にあり、酔っぱらったサラリーマンやホステスさんが中心。そこには様々な人間模様があり、繁華街ならではのドラマがお店の前で展開しています。

 

お店を始めてからずっと黒字を維持していたそうで、その理由もご自身で分析しています。それは繁華街ゆえにスナックなどのお店が閉まった後の時間まで営業を続けたり、お客さん毎に接客を工夫したり、客層の中心であるホステスさんが食べやすいように配慮したりといった具合です。

 

直観で始め、何もノウハウがないところからスタートし、どんどんと経験を積んでいく逞しさとその過程の楽しさは『督促OL修行日記』を思い起こさせます。意を決した女性というのはかくも強いものなのかとうなってしまいます。

 

住本さんは5年間のたこやき屋営業の後、作家を目指し東京に旅立ちます。このあたりの行動量もすごいものがありますね。そして、5年間で本当に大切な「心の財産」を見つけることができたと語るのです。

 

本書はチャレンジすることでしか得られない「素晴らしい思い出」が存在することを教えてくれます。そして、自分の気持ちにまかさて突っ走る住本さんの姿を読むととても元気になり、勇気が出てきます。

 

こんな人におススメ!

・チャレンジすることの素晴らしさを知りたい人
・開業を考えており、参考にしたい人
・元気と勇気をもらいたい人

 

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読書日:2015年3月