トップページ > 【評価順】エッセイの本> 【読書感想】『絶筆 梨元です、恐縮です。ぼくの突撃レポーター人生録』梨元勝
雑誌記者としての致命的欠点がテレビの人気芸能レポーターを誕生させた
『絶筆 梨元です、恐縮です。ぼくの突撃レポーター人生録』梨元勝著 書評
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梨元勝さんといえば芸能レポーターの先駆けのような存在で私が子供の頃はワイドショーにひっぱりだこでした。
そんな梨本さんは2010年8月に肺がんのため65歳の若さで死去。
本書はその一か月後の9月22日に発行された梨元さん最後の書であり、ご自身の人生を振り返る自伝のような内容になっています。
元々、本書の企画が出たのは2010年初頭であり、末期の肺ガンを宣告されたのは6月。
本の執筆と闘病生活が偶然重なったことになります。
本書では死去する1週間前に書いた原稿も掲載していますが、肺ガンでとても苦しんでいる文章となっています。
そして、家族への強い想いも語り、入院して一番うれしいことは病院の病室が家族の団らんの場になったことだとさえ述べています。
梨元さんの家族への深い愛情が伺えます。
入院後は『闘病ITプロジェクト』を立ち上げ、内視鏡検査や治療法などあらゆることをインターネットを通じて伝えていこうとされており、『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』の金子哲雄さんと同様、本当に仕事が好きな方なんだなという印象も受けます。
家族を想い、ギリギリまで仕事をこなす。最後まで梨元さんの優しさと強さは消えることはなかったのではないでしょうか。
そして、「生き方」として第三者から眺めてみると仕事も充実し、ご家族にも恵まれ楽しい充実した人生だったのではと感じるのです。
もう一つ、本書で印象に残ったことは、梨元さんがテレビの芸能レポーターになるきっかけです。
本の前半はご自身の生い立ちと経歴を書いているのですが、元々は講談社の契約社員で、雑誌『ヤングレディ』の取材記者だったそうです。
しかしながら原稿を書くのがとても遅く、わからない漢字も多いので、雑誌記者には向いていないと周囲から酷評されていたそうです。
そこで書く変わりに話をして伝える方法に切り替えると、『スピーカー』というあだ名に。
そして、編集部にテレビ局から出演依頼があった時に、「話せる梨元に行かせろ」という流れになり、じょじょにテレビに登場するようになったそうです。
梨元さんはこの経緯について、運が良かったし、スピーカーとして鍛えられていたおかげでもあると語ります。
雑誌記者としての致命的な欠点がきっかけでテレビ業界に引っ張られるというのは運命的な導きのようなものを感じます。
何がきっかけになるかわからないというわけです。
本書は他にも当時表に出せなかった芸能人のスキャンダルなどにも触れ、興味が尽きることなく読み切ることが出来ます。
こんな人におススメ!
・梨元さんがテレビの芸能レポーターとして人気者になるまでの経緯を知りたい人
・梨元さんの最後の原稿を読みたい人
・今まで表に出せなかった芸能スキャンダルを知りたい人
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読書日:2014年8月
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