約20年ぶりの再読。村上春樹作品の進化を感じる
『風の歌を聴け』村上 春樹著
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本書は村上春樹さんのデビュー作になります。
私がこの小説を読んだのは高校か大学生の時だったと記憶していますが、センスの良さや雰囲気や感性など今まで読んできた小説とずいぶん趣が異なり、たちまち引き込まれていったことを覚えています。
私の春樹さん初体験であり、以降、春樹さんの作品を現在まで読み漁るようになりました。
その時以来ですので実に約20年ぶりの再読になるわけです。
この時ベトナム旅行があり、機中などで読む本を探していた時に久しぶりに読んでみようと思い、手に取った次第です。
今回改めて読んで、最初に読んだ時の衝撃と興奮はなくなっていました。「こんなもんだったっけ?」という印象。
春樹さんの最新刊をずっと読んでいる私としては、ずいぶんと若々しい文章だったんだなとも感じました。
まず、文章がぶつ切りになっていて物語として成立していない。
確か、この作品を書いていた春樹さんはまだジャズ喫茶を経営されていて、就労後にコツコツと書いていたので、話がぶつ切りになっていると語っていたかと思います。
そして、なんだか浅いストーリーだなとも思いました。
しかし、これは春樹さんが作品を発表する毎に進化しているということなのでしょう。
『風の歌を聴け』に比べると今の春樹さんの作品はストーリー展開から文体まで重厚で成熟している印象を改めて受けました。
春樹さんは作品を発表し続けながら成長を遂げていったのです。
今回改めて再読して、このことをわかっただけでも収穫でした。
そして、進化を続ける春樹さんの作品をこれからもずっと読んでいこうと意を強くしました。
こんな人におススメ!
・村上春樹さんのデビュー作を読みたい人
・最新の春樹さん作品と初期の作品を比較してみたい人
・村上春樹さんの若き日の文体を楽しみたい人
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読書日:2015年6月
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