誰にでも起こりそうな「プチ非日常体験」が共感を呼ぶ
『家日和』奥田 英朗著 書評
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最も好きな作家奥田英朗さんによる家族を描いた短編集。相変わらず外れがなく楽しめます。
本書は全部で6つの話を収録。
1つ1つが読みやすいので、空いた時間にリラックスしながら読み進めることが出来ます。
ここで書かれている6つの話は、いずれも平凡で退屈な家庭の生活から起きた「非日常」のゆらぎを取り上げています。
例えば、ネットオークションにはまってしまった専業主婦、訪問営業の人に恋心を寄せてしまった専業主婦、会社が倒産し主夫となった夫、妻と別居した夫といった具合です。
これらの話にたちまち引き込まれてしまうのは、ほとんどの人が過ごしているであろう平凡な日常生活から話がスタートしているため、とても共感を得やすいからでしょう。
自分でも起こりえそうなエピソードなので、物語の主人公とシンクロしてしまうのです。
私は男なのですが、日常生活に飽きた専業主婦がネットオークションにどハマりしてしまうというシチュエーションはリアリティがとてもあり、実在する人物のように思えてしまいます。
話自体はそれぞれ大きなオチがあるわけではなく、静かにまた日常の生活に戻るパターンが多いです。
そこには他の家族の暖かい眼差しが感じられ、他の奥田作品とは異なる優しい視点が入っているのも興味深い所です。
ちょっとした時間に心がほっこりするような物語を楽しみたいという方にとっては、十分有意義な本といえるでしょう。
こんな人におススメ!
・誰でも体験しそうな共感度の高い物語を楽しみたい人
・空いた時間に気軽に読める短編集を求めている人
・稀有なストーリーテラー奥田英朗さんの物語を堪能したい人
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読書日:2015年7月
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