東日本大震災を境に多くの人々の人生が変わった
『ふるさとをあきらめない―フクシマ、25人の証言』和合 亮一著 書評
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本書は2011年3月11日に起きた東日本大震災において影響を受けた、福島にゆかりのある人々25人のインタビュー集。
「3月11日午後2時46分を、どのように受け止めたか」「どんな生き方をしていきたいか」という2つの柱を問いかけています。
著書の和合亮一さんは福島市在住の詩人であり、高校の国語教師。
2011年の東日本大震災では自らも被災し、現場からtwitterで「詩の礫」を発表し続け大反響を呼びました。
書き始めの文章は「放射能が降っています。静かな静かな夜です」というもの。
被災地を取材して鎮魂の意味をこめた詩を書き綴るようになり、カメラを携えて撮影をするうちに、現地の方々の体験談を聞く機会を得たことがきっかけで本書を出すことになったそうです。
読むと当時の生々しい状況がリアルに描かれています。
その後の政府や東電の無策に対する怒りにも心が痛みます。
そして、この日を境に多くの人々が多かれ少なかれ人生が変わっていったのだなあということがわかります。
いかにこの地震が多くの人の運命に影響を与えたか改めて認識します。
東京に住んでいる私としては、どちらかといえば部外者的な立ち位置でこの震災を眺めてしまっていた自分を反省せざるをえませんでした。
自分事として震災被害に対して、どのような貢献が出来るかを考えるよいきっかけとなりました。
読後間もなく、津波により壊滅的な被害を受けた宮城県の気仙沼市に行ってみました。
東京オリンピックの準備で東京ではあちこちで工事が行われているにも関わらず、気仙沼では当時の被害状況から全くといっていいほど変わっていない光景に大変驚きました。
復興は滞っているというよりも、諦めてしまっている感さえあります。
本書を読んでこの被害を自分事と捉え、何が出来るかと問いかけてみる。
そんなきっかけ作りの本として読んでいただきたいです。
こんな人におススメ!
・東日本大震災当時の被害の実態をリアルに感じたい人
・被災した福島の人々が人生にどのような影響を受けているか知りたい人
・東日本大震災の状況を生の声で把握したい人
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読書日:2014年3月