トップページ > 【評価順】エッセイの本> 【読書感想】『随筆集 一私小説書きの独語』西村 賢太
辛い半生が文学者として考えた時、素晴らしい資産となる
『随筆集 一私小説書きの独語』西村 賢太著 書評
サイト管理人の評価
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著者の西村賢太さんは私小説を書く作家です。『苦役列車』が芥川賞を受賞し、一躍有名になりました。
会見時の発言が注目され、その特異な人間性からテレビにもよく出演しています。
西村さんの本は何冊か読んでおり、私小説をベースにしているのですが、西村さん自身が壮絶な人生を歩んでいるだけに興味が尽きることなく読むことができます。
父親が強盗強姦事件を起こして逮捕され、刑務所に収監されたり、住むアパートはいつも家賃を踏み倒したり、母親からお金をせびり取ったり。
中卒でそのままその日暮らしの生活に突入し、肉体労働で生活する日々。
暴力による逮捕歴も度々あり、その波乱万丈の生活は作品にしっかりと生かされ、独自の魅力的な個性を放っています。
本書は西村さんの3冊目の随筆集であり、文学論から政治、AKB総選挙など様々なトピックスを取り上げ縦横無尽に語ります。
西村さんには藤澤清造という敬愛している私小説家の存在があり、西村作品はこの人物の影響を色濃く受けているということがわかりました。
この人の作品との出会いがなければ今の西村さんはなかったといえるでしょう。
西村さんが書く文章の魅力のベースには、まるで漫画に出てきそうな西村さんの波乱万丈な半生があります。
その魅力は麻薬のように私を引き込ませてくれます。
とてもお辛い半生だったと察しますが、文学者として考えた時、これほど素晴らしい資産を持つ作家も珍しいのではないかと感じてしまうのです。
こんな人におススメ!
・人気私小説かの数奇な運命を知りたい人
・作家の文学に対する取り組みの考え方を学びたい人
・西村賢太さんファンの人
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読書日:2015年2月
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