シーナ―的SFワールドはなかなか受け付けられない
『ひとつ目女』椎名誠著 書評
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好きな作家の一人、椎名誠さんのSF小説。しかし、椎名さん作品の幅の広さには驚かされます。
子供の頃に読んだ『アドバード』という椎名さんの初期のSF小説が印象に残っています。
広告に汚染されてしまった世界を描いているのですが、椎名さんは暗い終末世界を描くのが得意という認識で、本書も同様の傾向でした。
舞台は近未来のトーキョー。10年位前に黄色硫素酸系のガスで都市部は壊滅状態に。
その後、中国の同化政策により中国人だらけになった世界。
リアリティある設定で、描写も旅行経験豊富な椎名さんだけあって中国人の描写が生々しいです。
エッセイや自伝などさわやかな話を書く椎名さんですが、SFになると陰湿で救いようがない世界を描き、作家としてユニークな素質があると感じずにはいられません。
しかしながら、最初は独特の世界観に惹かれていたのですが、だんだんとストーリーがよくわからなくなってしまい、飽きてしまいまいました。
元々SFであるだけに現実味がとぼしく、私もこのタイプの話は得意はないというのも関係してきているでしょう。
悲しいかなグングンつまらなくなっていきました。
恐らく、椎名さんはSFを書く時は、話自体ではなく世界観を描きたいんだろうなという気がするのです。
そのために、ストーリーがいまいちという作品が多い気がします。自伝的小説の時はとても面白いんですけど。。
ということで、椎名さん作品の中で唯一苦手なのがSFだったと認識したのでした。
こんな人におススメ!
・近未来の終末世界の世界観を味わいたい人
・椎名誠さんのSF作品を読んでみたい人
・現実逃避出来る物語を読みたい人
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読書日:2015年8月
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