トップページ > 【評価順】エッセイの本> 【読書感想】『ハリー・ポッターと私に舞い降りた奇跡』松岡 佑子
タイトルに偽りなし。人生で起きた奇跡を描く
『ハリー・ポッターと私に舞い降りた奇跡』松岡 佑子著 書評
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4億5千万部を超える世界的ベストセラーになった『ハリー・ポッター』。日本語版は静山社という出版社から刊行されました。
しかしこの会社名をそれまで皆さんはご存じでしたでしょうか?著者の松岡佑子さんはこの静山社において現在、会長をされている方になります。
本書のタイトルにある「奇跡」とは、当時全くの無名であった静山社が並みいる大手出版社を差し置いて『ハリー・ポッター』の日本語訳権を取得し、松岡さんの人生がまさに変わった経験をしたことを指します。
しかしながら、そこに至るため、様々な出会いと別れがあり、まるで運命に導かれたようだとさえ思わされるエピソードが綴られています。
元々、静山社という会社は松岡さんの夫が1人で立ち上げた出版社でした。
当時は骨太な社会派の民衆史を出しており、三千部刷って一千部売れればいいという位の典型的な小出版社だったそうです。
しかしながら、松岡さんの夫は後に末期がんであることが発覚、病院で息を引き取ります。
その時、夫の意志を継ぎ、売れなくとも誇れる本を作りたいという想いで静山社に関わることになります。
旦那さんとの出会い、そして別れがなければ松岡さんが『ハリー・ポッター』に関わることがなかったと思うと不思議な運命を感じさせます。
また、『ハリー・ポッター』の日本語訳を出したいという日本の出版社の中から著者のJ.K.ローリングさんが静山社を選んだのも一つの奇跡でしょう。
選んだ理由は松岡さんが書いた、
「こんなに夢中になった本はない。小さい出版社だからこそ、この物語に力を注ぐことが出来る」
というシンプルな手紙の影響だったのではと推測されています。何がきっかけになるかわからないものです。
本書の後半には、松岡さんの『ハリー・ポッター』に対する深い愛情も書かれており、J.K.ローリングさんの選択は間違っていなかったんだなと思わせてくれます。
なかなか松岡さんのようなドラマチックな人生を歩む方はいないだろうと思うのですが、どんな状況においても想いをこめて全力で行動する姿勢が奇跡を呼び寄せたのだろうと感じます。
感銘を受け、いろいろと考えさせてくれる本でした。
こんな人におススメ!
・奇跡が本当に起こり得るということを知りたい人
・自分のキャリアに迷っている人
・『ハリー・ポッター』が好きな人
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読書日:2014年12月
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