竹内真さんの本に対する愛情が詰まった小説
『図書室のキリギリス』竹内 真著 書評
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竹内真さんの作品は、『カレーライフ』『自転車少年記』『ビールボーイズ』などを読んでおり、毎回、面白いテーマを扱い、楽しく読むことが出来るという印象。
本作は、「本」をテーマにした小説となっています。
主人公の詩織は、離婚をきっかけに、職を探し、公立高校で学校書司として働くことに。そこでの高校生との交流を中心に描いています。
また詩織は、本に触れると、その本を読んだ人の想いを感じ取れるという特殊能力があり、物語のちょっとしたアクセントにもなっています。
作品中には、具体的に様々な本が紹介され、竹内真さんの本に対する愛情が感じられます。
村上春樹の『夜のくもざる』や、アンドレーア ケルバーケル『小さな本の数奇な運命』、星野道夫の写真集など。
おそらく、竹内真さんが影響を受けた本が登場しているのでしょう。
個人的にヒットしたのは、子供のころに夢中になって読んだ、『マガーク少年探偵団』。
この作品を巡って登場人物が会話をするのですが、「懐かしい!」の連発でした。
基本的に、1章につき、1エピソード。ラストは、本の面白さを聴衆に聞かせる「ブックトーク」というイベントを高校で行います。
詩織さんの影響で本を好きになった高校生がおススメの本を紹介するシーンが、ハイライトになっています。
面白くはありましたが、全編を通して、少し単調だったかなとも感じました。もう少し刺激のある展開があっても良かったかもしれません。
あとは、離婚についてのエピソードが、とってつけたような感じになってしまっていて、話の本流にしっかりと食い込んでいなかった所も気になりました。
本作品は本好きの人なら楽しめることが出来るでしょう。
本の魅力を詰め込んだ物語になっています。
こんな人におススメ!
・本に深い愛情を持っている人
・落ち着いて平和な物語を読みたい人
・司書について興味がある人
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読書日:2015年11月
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