『岳物語』から連なる椎名一族の系譜
『三匹のかいじゅう』椎名誠著 書評
サイト管理人の評価
スポンサーリンク
作家椎名誠さんの作品に『岳物語』というのがあります。
これは椎名さんの息子、椎名岳さんとの交流記であり、中学の国語の教科書にも採用されていたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
子供のころ私もこれを読み以降、椎名さんの作品にのめりこんだ時期がありました。
この本は集英社から出ていたのですが、この椎名さんの家族を描く物語は集英社でシリーズ化され定期的に刊行されています。
そしてその最新作がこの『三匹のかいじゅう』。岳物語の刊行が1985年、本書の刊行が2013年ですから実に28年にもわたります。
これだけの長い間椎名さんの家族を見守ることになるなんて思いもよりませんでした。感慨深いものがあります。
さて、本書のタイトルの『三匹のかいじゅう』というのは、岳さんの3人の子供のことを指します。
風太、海、琉太の3人。つまり、椎名誠さんはおじいちゃんの立ち位置として物語を紡いでいます。
ご自身を「じいじい」と呼び、世界中を旅していた椎名さんも遂におじいちゃんになってしまったんだなあと想いを馳せます。
元々、岳さんの家族はサンフランシスコに住んでいたのですが、3人目の子供を日本で産むために日本に短期間の滞在予定で帰国。
そして、琉太くんが生まれたのち、3.11の東日本大震災に遭遇。
岳さんファミリーはアメリカでの日本に対する冷たい視線の高まりと、日本で得た職に面白さを感じ日本に留まる決意をします。
大震災の影響がこんなところにも及ぼしおり、改めて震災のインパクトの大きさを感じます。
また3人のお孫さんのうち、2人は男の子なのですが、見事に椎名誠さんの遺伝子を受け継いだ行動をしていて何とも微笑ましい気分になりました。
余裕のある方は『岳物語』から時系列で読んでいくと、大河小説のように大きな時間軸で物語を楽しむことが出来るでしょう。
こんな人におススメ!
・椎名一族の30年に渡る経過を知りたい人
・お孫さんが出来てからどのような生活が待っているかを知りたい人
・日本とアメリカの生活の比較を知りたい人
スポンサーリンク
読書日:2015年5月
サイト管理人の評価