テンポよくギャグもちりばめられている。ミステリー要素もあり、完成度高し
『星間商事株式会社社史編纂室』あらすじ
川田幸代。29歳。独身。腐女子(自称したことはない)。社史編纂室勤務。彼氏あり(たぶん)。
仕事をきっちり定時内にこなし、趣味のサークル活動に邁進する日々を送っていた彼女は、ある日、気づいてしまった。
この会社の過去には、なにか大きな秘密がある!
気づいてしまったんだからしょうがない。走り出してしまったオタク魂は止まらない。
この秘密、暴かずにはおくものか。
社史編纂室の不思議な面々、高校時代からのサークル仲間、そして彼氏との関係など、すべてが絡まり合って、怒濤の物語が進行する。
『星間商事株式会社社史編纂室』書評
三浦しおんさんの作品を読むのは本書が初めて。
さきほど、ウィキペディアで女性だと初めて知ったくらいです。
一方三浦しおんさん原作の映画は『まほろ駅前シリーズ』や『舟を編む』などけっこう観ており、独特の世界観に興味を惹かれます。
読み始めてまずテンポが良く、飽きずにどんどんと読み進められる作品だと感じました。
腐女子である川田幸代をはじめ、出てくるキャラクターがとても個性的。
さらに、ギャグが定期的に入ってくるので楽しめます。
序盤からここまですんなりと小説の世界観に浸れるのは珍しいです。
舞台は、社史編纂室、そして、コミックマーケットが中心になるのですが、それぞれの題材が面白い。
独特の文化があり、興味深く、題材選びとその掛け合わせも絶妙です。
さらには、ストーリーを引っ張ってくれるミステリー要素も存在します。
それは社史を編纂するにあたり、会社OBが誰も語りたがらない「空白の時代」があるということ。
川田幸代をはじめとする編纂室のメンバーは、この空白の時代を解明すべく奮闘するのですが、その過程も楽しめます。
このようにみると、「個性的なキャラクター」「テンポがよく飽きさせない文章」「ミステリー要素がある物語の柱」「興味をそそる題材」と面白い小説に欠かせない要素がしっかりと入っている印象を持ちました。
映画化されている作品も多いのですが、本書を読むとそれも納得です。
本年に入り、お気に入りの作家を1人見つけることが出来たのは大きな喜びです。
これからも三浦しおんさんの作品をいろいろ読んでいきたいです。
こんな人におススメ!
・テンポよく楽しく物語を読みたい人
・お気に入りの作家を見つけたい人
・腐女子の生態に興味がある人
スポンサーリンク
読書日:2016年1月
サイト管理人の評価