トップページ > 【評価順】旅・海外体験の本> 【読書感想】『私はなぜ「中国」を捨てたのか』石平
中国という国の実態を真摯に赤裸々に描く
『私はなぜ「中国」を捨てたのか』石平著 書評
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著者の石平さんは中国、四川省の生まれ。
学生だった1988年に来日。2007年には帰化し、日本人に。現在は、評論家としてご活躍しています。
元々、政治に関心のある私は、テレビやラジオを報道番組をよく視聴するのですが、ときおり、石平さんが登場しており、人となりをより詳しくしりたいと思い、手に取った一冊です。
中国人であった石平さんが、日本びいきになった理由を知りたかったのです。
本書は、石平さんが生まれてから、日本人として帰化するまでの過程が描かれていますが、その間、様々なドラマが存在したことがわかり、夢中になって読みました。
石平さんが生まれた時は、毛沢東の時代。
子供のころは、共産党による思想教育を受け、「毛主席の小戦士」になっていたそうです。
学校は、「毛主席の忠実な戦士」を作る機関になっていたそうで、さながら国ぐるみで洗脳工作をしているような印象を受けました。
そして、まさに「この世の地獄」ともいえる、文化大革命を経て、石平さんの洗脳は解かれます。
自分の信じていたことが崩れ去るということは、とても大きな衝撃をもたらしたことでしょう。
そんな状態になった石平さんでしたが、まだこの頃は、中国への愛国心は持ち続け、「この国のために人生を捧げよう」と感じていました。
そんな中、日本に留学する機会を経て、日本へ。
そして、日本で学んでいるさなか、中国では、「天安門事件」が起きるのです。
石平さんは詳しく語るのを本書で意図的に避けていますが、それほど苦痛な出来事だったようです。
石平さんは、日本に滞在を続けながら、日本人の親切さや、中国で廃れてしまった「論語」に触れ、日本の良さを感じるようになります。
そして、帰省時には、共産党が反日を政治利用していることを知り、ますます母国に対して、絶望していきます。
ついに、石平さんは帰化という選択をするのです。
このようにみると、元々、石平さんは愛国心の塊のような人であり、だからこそ中国の政治に深く絶望し、見限る選択をしたのでしょう。
とてもふり幅が大きく、ドラスティックな人生を歩まれている方だと感じました。
中国は一つの宗教のような印象を持ちました。
しかしながら、海外との交流が進み、インターネットも発達している今、なかなか政府の思惑通りに洗脳していくことは難しいのではないでしょうか。
時が経つにつれ、石平さんのような方が増えるのではないかなと思いました。
こんな人におススメ!
・石平さんのことを詳しく知りたい人
・中国共産党の政策を知りたい人
・日本の良さを感じたい人
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読書日:2016年4月
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