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天才の父を持ったがゆえの苦悩がにじみ出る
『「父」手塚治虫の素顔』手塚眞著 書評
1404円 サイト管理人の評価 |
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小学生の頃、手塚治虫さんは憧れの存在であり、私にとって神様でした。
子供の頃漫画家になりたいと考えていた私は藤子不二雄さんの『まんが道』という漫画を読み、漫画界の生みの親ともいうべき手塚治虫さんの存在を知り、熱中しました。
小学生の時はまだ手塚さんがご存命で、東京高田馬場の仕事場までおしかけるほど。2度ほど直接お会いしています。
今思えばずいぶんと行動力のある子供だったなと思います。
そんなわけなので手塚さんの作品はほとんど読みましたし、関連本も相当数読んでいます。
本書は手塚治虫さんの息子でヴィジュアリストという肩書でご活躍されている手塚眞さんが「子供から見た手塚治虫の思い出」という内容で書いています。
しかしながら、出てくるエピソードは他の手塚治虫関連本で既に知っているものが多く、目新しい話があまりなく拍子抜けしたという印象です。
それはなぜかといえば、手塚眞さんは「父は仕事で大変忙しく、あまり接することが少なかった」からなのです。
子供の立場であっても手塚治虫さんとあまり接点が持てなかったという点に、稀有な天才漫画家としてのすごみを感じます。
また手塚眞さんは偉大な父を持ってしまったがゆえの苦しさというものが、文章の端々から感じ取ることが出来ました。
何をやっても父の業績と比べられてしまうというのは、通常の環境では味わえない感覚なのでしょう。
そんな中でも巻頭には手塚治虫さんが一家団欒で過ごす写真がいくつか掲載させられており、ホッとします。
昭和の時代を駆け抜けた天才の休息のひと時がここにあります。
私にとっては知っているエピソードではあっても初めて知る方も少なくないと思います。
是非、手塚治虫さんがどのような人物だったのかを知って頂きたいです。
こんな人におススメ!
・漫画界の巨匠手塚治虫さんのエピソードを知りたい方
・偉大な父を持ってしまった子供の心情・考え方を知りたい人
・手塚治虫さんと手塚眞さんの親子対談を読みたい人(巻末に掲載)
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読書日:2015年1月