トップページ > 【評価順】スポーツの本> 【読書感想】『スカウト魂 たたき上げの詩』安倍昌彦
世の中は思い通りに行かないということを痛感する
『スカウト魂 たたき上げの詩』安倍昌彦著 書評
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本書は野球選手のスカウトを仕事とされている9人のインタビュー集。プロ野球のみならずメジャーリーグや社会人野球のスカウトの方も登場します。
野球のスカウトという仕事は表に出てきませんが球団にとっても重要な役割であり、選手にとってもその人の運命を左右する非常に重い立場にあります。
そんなスカウトという仕事の実情を探りたく手に取ってみました。
読んでみて、『AV男優』の時もそうでしたがやはりどんな職業であれ、その職業に就いている人の数だけ多様なポリシーを持ち仕事にアプローチしているのだなと感じました。
それはその人の生い立ちや仕事に就くまでの経緯が影響しているのでしょう。
抜群の実績や身体能力の高い選手がそのままスカウトされて、期待通りの活躍をするかといえば必ずしもそういえないところが面白くもあり大変なところであります。
一方、学生時代パッとしなかった人がプロになり、めきめきと成長して活躍することも少なくありません。
そんな中で野球選手の目利きをするというのはとても高度な能力が必要となるのではないでしょうか。
本書の中で一番刺さった言葉が社会人野球の日本石油(JX-ENEOS)のスカウト弓田鋭彦さんが伝えた「心の強さだけは、自分自身で造る上げるしかない」というものでした。
たとえ素質や実績が劣っていても志が高く、自己管理が出来て、努力を続けられる。
こんな素質の持ち主がやがて頭角を表わしていくということなのでしょう。
その意味でいえば、その人の内面まで分析することが必要で本当に大変なお仕事だと思ってしまうのです。
ただし悲しかったことは、本書ではそれぞれのスカウトが今狙っている特定の選手を実名で絶賛していることも多いのですが、その選手をネットで調べてみるとたいして活躍しないまま球界を既に去っている人も少なくないということです。
スカウトの目利きにより活躍を見込まれながらも実際は全然通用しなかった。選手の立場を思えば大変可哀想な気もします。
それだけスカウトは人の一生を左右する仕事であり醍醐味でもあり、怖い部分でもあります。
こんな人におススメ!
・野球選手のスカウトの仕事内容を知りたい人
・スカウトがどのような基準で目利きをしているか知りたい人
・スカウトの目利きで選んだ選手は現在どうなっているかを調べたい人
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読書日:2015年7月
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