いわれのない罪で窮地に陥った時にどのような行動に出るべきか
『あきらめない 働く女性に贈る愛と勇気のメッセージ』村木 厚子著 書評
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著者の村木厚子さんは78年に労働省(厚生労働省)に入省。
厚生労働省4人目の女性局長として、2008年に雇用均等・児童家庭局長を務めた後、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)、厚生労働省社会・援護局長を歴任。
2013年7月に厚生労働事務次官に就任しました。
本書タイトルの「あきらめない」というのは2009年に起きた郵政不正事件の時の出来事を指します。
大阪地方検察庁特別捜査部が、障害者団体向けの郵便料金の割引制度の不正利用があったとして、各関係者を摘発した郵便法違反・虚偽有印公文書作成事件です。
この時村木さんは虚偽公文書作成容疑などで、逮捕・起訴されてしまいます。
164日間の勾留のあと、無罪を獲得。
極限状態の中、彼女が決して屈しなかった 「あきらめない心」の秘密を明かすというのが本書の内容です。
この不正事件は私も新聞などで話題になっていたので知っており、村木さんについてはダーティーなイメージを持っていました。結局、無罪だったという印象は薄かったです。
改めて本書を読んで、村木さんのイメージがずいぶんと変わり、マスコミが発表するイメージに踊らされてしまったかなと感じました。
この本を読んで村木さんは至って普通な感覚の持ち主であり、そこが魅力なのだと知りました。
冒頭においても、村木さんが目指す役割として「普通の女性のロールモデルになる」ということを掲げています。
平々凡々な私でも仕事や子育てもやってこれた。
「村木さんでもできた」というロールモデルになりたいと述べており、女性らしく聡明な方でもあるという印象です。
前半はご自身の生い立ちから入省、結婚と出産までを書いています。
そして、後半は郵政不正事件の話が中心。
いわれのないまま逮捕、抑留されてしまうのですが、検察がありもしないストーリーをでっちあげ、それが瞬く間に報道されてしまう流れに恐怖を感じてしまいます。
他の人であれば心が折れ、嘘の供述をしてしまうかもしれません。
そのような中で村木さんを支えていたのは家族、そして職場仲間や友人でした。
拘留中は500通の手紙と70人の面会があったそうで、普段から村木さんがいかに信頼されている人物だったかがわかるエピソードです。
さらに拘留中に149冊の本を読み、事件の最中に平常心と冷静さを保てたのは、読書という夢中になれるものがあり、精神安定剤になっていたからと述べているのも印象深いです。
いわれのない罪で逮捕され、マスコミが大いに騒ぎ立てたというのは村木さんも本当に大変だったであろうと察します。
そんな中でも適切な行動をされていたのは、家族や仲間の支えであり、読書でした。
こうしてみると普段の生活の心がけは、とても大事であると思うのです。
こんな人におススメ!
・2009年に起きた郵政不正事件の真相を知りたい方
・突然いわれのない事で窮地に陥った時どのような行動に出るか参考にしたい方
・家族や仲間の大切さを実感したい方
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読書日:2014年12月
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