雑誌史に痕跡を残したスキャンダリズム雑誌の軌跡
『「噂の真相」25年戦記』岡留 安則著 書評
サイト管理人の評価
スポンサーリンク
かって『噂の真相』というスキャンダリズム雑誌があったことをみなさんはご存知でしょうか?
1979年3月から2004年4月まで25年間刊行された月刊誌です。
「タブーなき雑誌」を標榜し、他の芸能誌では書けないようなスキャンダル記事を連発。
私も当時はよく立ち読みしていました(表紙の怪しげなテイストから購入するのは遠慮していました。。)。
刊行時は月刊総合雑誌の部数では『文藝春秋』に次ぐ規模であり、休刊時の公称部数でも20万部(実売12万部)。
黒字のまま休刊に至っている、いわば「伝説の雑誌」ともいえるものです。
本書は『噂の真相』を立ち上げ、編集長を務めていた岡留安則さんによる刊行していた25年間の奮闘記になっています。
元々『噂の真相』はなぜ他誌では出来ないようなスキャンダル記事を続々と載せることが出来るのだろうと疑問でしたが、その理由も本書ではしっかり書いてありました。
それは全収入の9割以上が販売収入で、大手企業の広告は皆無に近かったから。
そのためスポンサーからのクレームを一切気にすることなく、タブー視されていた事件を書ける土壌になっていたというわけです。
大手出版社はこれが出来ないから、もう1歩踏み込めないというわけです。
ジャーナリズムという視点から見ると、広告主タブーをなくすというのはとても重要ですね。
そして、この仕組みが出来ているからこそ販売収入が伸び、黒字経営が出来ているのだと思います。
本書では他に影響力の強かった記事の顛末記も書かれています。
「極真会館スキャンダル」「皇室ポルノ事件」「森ヨシロウの買春検挙歴報道」などまさに命をかけて載せた記事も多く、岡留さんの覚悟の深さが垣間見えます。
この他『噂の真相』発刊の経緯や、もう少し前に休刊の予定があったことなど裏話も盛りだくさん。
躍動感溢れた25年の軌跡と、岡留さんの雑誌への熱い想いが書かれた一冊となっています。
こんな人におススメ!
・伝説の雑誌『噂の真相』の詳細を知りたい人
・タブー視されてきた数々の事件を知りたい人
・ジャーナリズムに関わりのある人
スポンサーリンク
読書日:2015年4月
サイト管理人の評価