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実在の事件をモチーフに桐野ワールドが展開

『東京島』桐野 夏生著 書評

 

東京島』桐野 夏生著

 

サイト管理人の評価

 

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のめり込むことが出来る物語が久しぶりに読みたいと思い手に取った一冊。

 

桐野夏生さんの作品は『OUT』などを読んできましたが、極限状態におかれた人間の奇抜な行動というシチュエーションが面白く、興味を引き付けるストーリー展開を書いている作家という印象です。

 

本書は主人公清子と夫が世界一周旅行で乗っていたクルーザーが嵐で遭難してしまい、23人のフリーター達と11人の中国人が無人島に漂着。

 

女性は清子1人であり、清子を巡るサバイバルが勃発するというストーリー。

 

設定がとても魅力的でワクワクします。

 

実はこれはアナタハンの女王事件という1945〜1950年に起きた、1人の女性と32人の男達との共同生活で起きたサバイバル事件がモチーフになっているそうです。

 

読んでいて、さすがに桐野さんのスキルは高く、ドキドキハラハラ。

 

細部までしっかり書き込まれ、リアリティをしっかりと感じさせてくれる描写は実に見事です。

 

ストーリー展開も次の展開が待ち遠しいと感じてしまうのは、ストーリーを引っ張る力がとても強いということなのでしょう。

 

読み終わり、小説家が持つ想像力というのはやはりすごいものだと感じ入りました。

 

とある事件をモチーフにしているとはいえ、時代背景もキャラクターも異なるわけですから、作家の頭の中で世界が完成されており、さも現実のように表現出来るのは見事。

 

お蔭で物語の世界にどっぷりと浸かることが出来ました。

 

こんな人におススメ!

・スリリングな物語の世界にどっぷりハマりたい人
・大人数の男と1人の女の共同生活という設定に興味がある人
・桐野夏生ファンの人

 

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読書日:2015年2月

 

東京島』桐野 夏生著

 

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