厨房から覗いたホワイトハウスを疑似体験
『大統領の料理人』ウォルター・シャイブ著 書評
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著者のウォルター・シャイブさんは1994年にヒラリー・クリントンに採用されホワイトハウスの総料理長に。
その後、2005年まで、クリントン時代の7年間とブッシュ時代の4年間、計11年間をアメリカ大統領とその家族のために料理を作り続けた人物です。
副題に「厨房からのぞいたホワイトハウス11年」と書いており、とても貴重なエピソードが載っていることを期待して読んでみました。
本書ではホワイトハウスのシェフに応募するところから書かれており、採用されるとどのような事態が起こるかがわかります。
マスメディアから一気に注目されたり、FBIが身辺検査をしたりと人生が一変するというのはこのようなことをいうのであろうなと感じます。
この本で良かったのは、ウォルターさんが2人の大統領にまたがったことで、それぞれの婦人のパーソナリティーの違いがよくわかりました。
特に、ヒラリー・クリントンは現在、大統領候補の一人なのでより興味をそそられます。
同じ大統領夫人でありながら、アメリカの料理とワイン、エンターテインメントの最高のものを求めるヒラリー・クリントンとなじみ深くて美味しいものがポリシーであり、何なのかわからなくなるほど細かく刻んだ食材や建物のように食材を何重にも重ねた盛り付けの料理は好きではないローラ・ブッシュ。
2人の好みの対比は実にユニークです。
11年の間に様々なイベントがありましたが、中でも日本の天皇を国賓に迎えた時や9.11事件に遭った時のエピソードは日本人として興味深く読むことが出来ました。
大統領が変わり、ホワイトハウスの雰囲気が一気に変わり、ウォルターさんは一抹の寂しさを感じていますが、これなどもウォルターさんだけしか味わえない感情だったかもしれません。
最後は半ばクビにされたようなかっこうでホワイトハウスを去ることになるのですが、このようなドライな感じがいかにもアメリカらしいです。
ホワイトハウスで料理人になるなんて他の人ではなかなか出来ない貴重な体験であり、この体験を疑似体験出来る本という存在は本当に素晴らしいなと思うのです。
こんな人におススメ!
・普通の人は出来ない貴重な体験を味わいたい人
・ホワイトハウスの料理事情を知りたい人
・クリントンとブッシュ、2人のパーソナリティーの比較を知りたい人
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読書日:2015年6月
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