日本人の書き手によるクオリティの高いオバマ評
『評伝 バラク・オバマ 「越境」する大統領』渡辺将人著 書評
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本書は第44代アメリカ大統領バラク・オバマ氏の人生の軌跡を綴った内容。
最初、洋書の日本語訳かと思っていたのですが、日本人が書き手でした。にもかかわらずクオリティがとても高い仕上がりになっています。
著者の渡辺将人さんは現代アメリカ政治、外交を専攻する政治学者。
シカゴ大学大学院を卒業し、下院議員事務所や上院選挙事務所本部に勤務した経験もあるそうです。
渡辺さんはこの本の執筆にあたり、オバマ氏ゆかりの地をくまなく歩き、関係者の一人一人に会うことで、オバマ氏の前半生を浮き彫りにすることを試みています。
日本人がこうした試みを行っていることで、行く先々で関係者は珍しがってくれたそうです。
かなりの労作であり、その分オバマの人となりがずいぶんと詳しく書かれています。
この本が刊行されたのは2009年。
この年は「Yes We Can」の大合唱で初の黒人大統領としてオバマ氏が当選。11月にはノーベル平和賞も受賞し、オバマ氏として最も輝かしい時であったと感じます。
本書はオバマ氏に対する強い期待が込められている印象を受けます。
本書を読むと、オバマ氏は単純に「黒人」と捉えるよりもむしろ「アジア系」といった方が良い、多様性をもった人物であることがわかります。6歳から10歳までインドネシアで暮らしていたのでした。
黒人というのは選挙時のアピールの側面もあったようで、これは初めて知りました。
また、大統領候補になるまでに僅か10年位のスパンで急速に台頭してきたというのも興味深いことです。
元々は弁護士として働いていたのですから、これは運命の導きであったのかもしれません。
全体的にこれまでの生き方を見ると、素質・能力共に大統領になる資格が十分にある人物であると理解出来ます。
オバマ氏の任期は間もなく終わりますが、残念ながら後半はかなり評判を落としてしまっているという印象です。
ノーベル平和賞受賞も今や却って足かせになってしまっており、各地の紛争も止められない状況です。
オバマ氏レベルのトップエリートでも、アメリカ大統領という職務をこなすのは難しいものなのだと実感します。
こんな人におススメ!
・日本人の書き手によるクオリティの高いオバマ評を読みたい人
・バラクオバマが大統領になるまでの軌跡を把握したい人
・トップエリートが歩む経歴を知りたい人
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読書日:2014年4月
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