壮絶な子供時代が原動力になっている習近平
『習近平の正体』茅沢 勤著 書評
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本書は2010年10月に刊行されており、2012年秋の中国共産党党大会で習近平が選出されるのを見越して書かれた本邦初の「習近平研究」となっています。
著者の茅沢勤さんはは中国問題の専門家として雑誌などで論文、レポートを発表しているフリージャーナリストです。
この本を読んだ時点では習近平についての知識を私はあまり持ち合わせていませんでした。
本書では習近平の生い立ちから最高指導者になるまでの権力闘争が書かれ、習近平がどのような半生を辿っていたかが理解出来ました。
読んで感じたのは習近平が若い時は大変な苦労をしており、その分人の痛みがわかり、それが地方幹部時代、人民に親しまれる政治をする原動力になっていたということ。
そしてこの資質が、最高指導者争いにおいて研究肌の李克強に勝つ要因を生み出したということです。
父の習仲勲は毛沢東に「反革命階級」と大批判され、14年間の大半を獄中で過ごしたそうです。
それに伴い、習近平は極貧の下放生活を子供時代に送ることになります。
「苦労は買ってでもしろ」という言葉がありますが、子供時代の苦しい日々が今の習近平を形成しているのでしょう。
また習近平の奥さんは当時、国民的スターの歌手だった彭麗媛という人物であり、まだ副市長時代で無名だった習近平が初対面で口説き落としたとのこと。
この時は彭麗媛の方が圧倒的に有名だったそうで、奥さんの先見の明は確かなものがあったようです。
本書では習近平の対日観についても書かれていますが、それまでにあまり日本と接点はなく、あまり大きな変更はないのではないかという推測でした。
現時点でさえ、まだ不透明な印象を受けるのですが、この点においては楽観的になるのは危険だなという気がします。
曲がりなりにも13億人のトップというわけですから、やはり選ばれるだけの資質はある人物なのだなという印象です。
中国の政治はしたたかですから、酸いも甘いも噛み分けている習近平とどのように対峙していくのか。
簡単なことではないでしょう。
こんな人におススメ!
・13億人の頂点にたった人物を研究したい人
・中国政治の状況を知りたい人
・最高指導者争いの過程を知りたい人
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読書日:2014年4月
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