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イメージが覆る金正男の思考

『父・金正日と私 金正男独占告白』五味洋治著 書評

 

『父・金正日と私 金正男独占告白』五味洋治著

 

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本書は東京新聞の記者五味洋治さんと金正日の長男、金正男の7年にわたる交流歴になっており、150通のメールのやりとりと7時間のインタビューがベースになっています。

 

2004年に空港で偶然出会い、名刺を渡したところ金正男からメールが来て、やりとりが始まりました。

 

普段表に出てこない、金正男の実態がわかるとても貴重な内容になっています。

 

金正男といえば思い出されるのが偽造パスポートで日本に密入国した事件です。

 

2001年の出来事ですが、この時は強制退去されています。

 

金正男は日本に来た理由を「東京ディズニーランドに行きたかった」と語り、バカ息子の典型のようなイメージを持っていました。

 

しかしながら本書を読むとそのイメージは覆され、広い視野を持ちながら、冷静かつ公平に物事を見ている人物なのだということがわかりました。

 

北朝鮮トップの血筋にもかかわらず、ここまで開放的な思考の持ち主なのかと驚きました。

 

バカ息子どころか極めて優秀な人物であるようです。

 

本書の中で金正男は北朝鮮の三世代世襲制を批判しています。

 

また現主導者の金正恩に対して、「住民がもっと豊かに暮らせるようにしてほしい」というメッセージを述べていたのは意外でした。

 

しかしながら、これだけフラットな考え方の持ち主だからこそ後継者から外れてしまったという側面があったのかもしれません。

 

また東日本大震災の直後にもメールを送り、「1日も早く被害から回復することを心より祈ります。」と述べ、物静かに対応する日本人の姿に感動するなど極めてまともな感覚の持ち主であると感じました。

 

当初の予想とその実態はそれこそ180度異なり、驚きを受けました。

 

こんな人におススメ!

・金正日の長男がどのような考え方の持ち主か知りたい人
・金正男の北朝鮮に対する想いを知りたい人
・東日本大震災に対する金正男の反応を知りたい人

 

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読書日:2014年3月

 

『父・金正日と私 金正男独占告白』五味洋治著

 

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