トップページ > 【評価順】経済・金融の本> 【読書感想】『幸福の商社、不幸のデパート 僕が3億円の借金地獄で見た景色』水野 俊哉
反面教師になりうる借金地獄と再生の物語
『幸福の商社、不幸のデパート』水野 俊哉著 書評
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副題が「僕が3億円の借金地獄で見た景色」となっており、現在は著述や講演などを行っている著者の水野俊哉さんが、20代半ばからの10年間で経験した天国と地獄を本書で綴っています。
全体的に大きな流れが3つあります。
最初は20代半ばで若手起業家として独立し、すぐに年収は1000万円を超え、この世の春を謳歌していた時。
次に上場直前で内紛をきっかけに会社から追放され、個人補償を入れていた3億円の借金だけが残り、月々500万円の返済を迫られていた時。
最後に債権放棄後再生を目指し、成功本の成功法則を全部やってみるというチャレンジをした時。
それぞれの流れにおいて、いくつかの大切な学びを得ることができました。
水野さんは羽振りが良かった新興市場バブル期の時、西麻布にあるお店のVIPルームでよく遊んでいたそうですが、上場したIT系企業の社長や芸能人、業界関係者などが集まり1晩で10万、20万と使うのが当たり前の状況で豪遊していたそうです。
しかしそれから7、8年経った現在、その時いたほとんどの人たちは会社の倒産や偽造発覚などで表舞台から姿を消しているとのこと。
金儲けに目がくらむとろくなことはないということを水野さんは実感されたそうで、戒めになります。
また事業に失敗して巨額の借金を背負うようになったら、今まで群がっていた女性や部下や取引先などは、一斉に目の前から去り、ろくな人間に取り囲まれていなかったということに気づいたそうです。
考え方の根本が間違っていると、そこから出来た人脈もろくなものにはならないと水野さんは語ります。
さらに債務放棄後、水野さんが成功本を読み、「アファメーション」をするうちにオファーが次々と舞い込むようになったくだりは興味深く読むことが出来ました。
読後お金は魔物としての側面も持ち、幸せを得るための目的ではなく、幸せになるための手段として使用することがベストなのだと学びました。
目の前のことに幸せをしっかり感じることこそが、分不相応の欲望に打ち勝つ方法なのかもしれません。
羽振りの良かった時の水野さんの行動は日本を代表する実業家、稲盛和夫さんの教えとは真逆の内容です。
それだけに反面教師として参考になる面もありました。
こんな人におススメ!
・お金との付き合い方で反面教師として学びたい人
・巨額の借金を負うとどのような状況になるか知りたい人
・成功本を忠実に取り入れる時の変化を知りたい人
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読書日:2014年4月
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