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幕末の歴史に関し、コラム形式で楽しく読める本

『目からウロコの幕末事件簿』河合 敦著 書評

 

『目からウロコの幕末事件簿』河合 敦著

 

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日本史の中でも幕末は興味の強い時代で、軽めで楽しく読める本を探して、見つけた本。

 

著者の河合敦さんは、日本史の高校教師であり、歴史作家・歴史研究家として多数の著書を執筆されているそうです。

 

本書は、コラム形式になっていて、一つ一つトピックが異なり、読んでいて飽きることがありません。

 

さらに、コラムは下記の章別にまとめられています。

 

第1草 外国人との接触
第2章 幕府を守ろうとした幕末人物の意外な話
第3章 新政府をつくるため働いた志士達の驚いの逸話
第4章 幕末に起こったすごい事件簿
第5章 幕末の知られざる学問・思想・世相

 

さて、本書の中で特に、興味深かった点は次の3つ。

 

■日本に居留している外国人は日本に居心地の良さを感じ、日本人を高く評価していた

 

横浜に居留していたある外国人の手記には、日本人の気質を「手先が器用、商売好き、見知らぬ人に親切、やや詮索好き、外国の美術品に劣るまいとする負けず嫌いな性格、西洋文明のすばらしさを理解する能力がある」と分析しています。

 

さらに、多くの外国人兵士にとって、日本での生活は快適で、実際、ある連隊に帰国命令が発せられた時、兵士の多くが除隊し、横浜に住み着く覚悟をしたほどだとか。

 

また、外国から伝わった、蒸気船や機関車、アームストロング砲を幕府は国産化してしまったそうで、驚くべき技術力を持っていたことがわかります。

 

このあたりは、今の日本で評価されている部分と重なっていると感じます。

 

■新選組沖田総司のイメージは作られた部分が多い

 

新選組の沖田総司といえば、病弱で薄幸のイメージがあり、そのため女性からの人気は絶大です。

 

しかし、このイメージを形作ったのは、戦後映画なのだそうです。

 

元々、新選組といえば、近藤勇が主役だったのですが、司馬遼太郎が作品で沖田総司を取り上げ、世に出てきたとか。

 

そして、さらに1970年代になると、イケメンやジャニーズアイドルたちが、沖田総司を演じたことで、沖田=美形のイメージが形成されたそうです。

 

有名な池田屋の戦いの最中に、沖田が喀血したというシーンも、事実ではないようで、国民の理想が集まった人物が世間での沖田像になっているのかなと感じます。

 

■幕末の有名な事件は事実ではないことも多い

 

例えば、坂本龍馬が仲介した薩長同盟が倒幕のためだったというのは間違いで、現在は「倒幕を目的とする秘密軍事同盟ではなかった」という説が有力なのだとか。

 

その目的は、京都に誕生した政治権力「一会桑政権」の打倒にあったとのこと。

 

最初に薩長同盟を構想したのは坂本龍馬ではないというのは、けっこう大きな衝撃ですね。

 

さらに、江戸無血開城は、実際は、西郷隆盛と勝海舟の話し合いで決まったものではなく、このことは会談前に既に決定していたのだそうです。

 

これは、有名な場面ですが、これも事実ではないとは驚きです。

 

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このように、幕末に関する様々な面白い情報を総花的に知ることが出来ます。

 

歴史好きの方には、おススメですよ。

 

こんな人におススメ!

・幕末の歴史について様々な知識を得たい人
・歴史を知ることの面白さに触れたい人
・暇つぶしにちょっとした豆知識を得たい人

 

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読書日:2016年4月

 

『目からウロコの幕末事件簿』河合 敦著

 

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