序盤からハラハラドキドキする展開。登場人物の個性が光る
『欠落』あらすじ
SITに配属になった同期の女刑事が、身代わりとして監禁事件の人質になった――。
警視庁捜査一課の刑事・宇田川は、別の殺人事件を追いながらも、彼女の安否が気にかかる。
自らが関わる事件は、公安主導の捜査に変わっていき、宇田川は姿を消している元同期、蘇我との連絡を試みるが……。
この組織には、刑事によって解決されるべき謎がある。
『欠落』書評
今野敏さんの作品を読むのは、『禁断 横浜みなとみらい署暴対係』に次いで2作目。
エンターテイメント性にあふれ、面白かったので、また読んでみようと思い、手に取ってみました。
巻末によると、本作はデビュー35周年を迎えた、特別フェアの第一弾だそうです。
読んだ結論からいうと、本作も面白かった!
おそらくどの作品も一定レベル以上の内容を保ち、量産出来る作家さんなんだろうなという印象を持ちました。
まずは登場人物が個性豊かで、ビジュアル化しやすい。
主人公の宇田川亮太もさることながら、際立ったキャラクターは、定年まであと5年の佐倉友道という人物。
宇田川と共に仕事をする先輩で、最初は、組織に言われたことをやるだけの、無気力な人というイメージ。
ところが話が進むにつれ、そのイメージはじょじょに変わり、実際はいぶし銀で、とても頼りになる性格だったということがわかってきます。
作中、キャラクターのイメージが変化していく様子を描けるというのは、作家としての能力が高いのかなと思いました。テレビドラマのようです。
また本作は、宇田川、蘇我、そして女性の大石という同期3人の刑事(蘇我は退職)が物語のコアになっており、支えあえる絆を持つ同期の存在って良いよな〜とも感じさせてくれます。
そして、ストーリー展開も秀逸。
冒頭から、大石が、立てこもり犯に拉致されるという展開で、いきなりハラハラ。
しかも不自然と思われる謎がその過程で次々に出てきて、興味はつきません。
ラストは前提となる設定が一気に崩れ、予想外の方向に。
これぞ、サスペンス物の醍醐味ですね。
このように非日常の世界へといざなってくれ、ラストまでグイグイと読ませます。
引き続き、今野敏さんの作品はチェックしていきます。
こんな人におススメ!
・ハラハラドキドキ出来るサスペンスを読みたい人
・同期の良さを実感したい人
・際立ったキャラクターが出てくる物語を読みたい人
スポンサーリンク
読書日:2016年5月
サイト管理人の評価