面白いストーリー展開も、ラストはあと一歩
『感染広告』あらすじ
広告代理店・首都広告社のクリエイティブ・ディレクター堂門修介は、プレミアムビール「バドバーグ」のリニューアルキャンペーンの現場責任者として、ウェブ中心の広告を仕掛ける。
口コミによる「感染爆発」を裏コンセプトにプレゼンを勝ち取り、イベント、ショートムービー、コマーシャルソングを連動させた企画が大成功に終わる。
しかし、「バドバーグ」と叫びながら駅で飛び込み自殺した事故が起き、状況は一転。
その後も、マンションからの飛び降り自殺を図る若者が続き、CMは中止に追い込まれる。
責任を押し付けられた修介は、原因究明に走るのだが―。
『感染広告』書評
三浦明博さんは、広告会社でコピーライターとして勤務した後、独立。
2002年、『滅びのモノクローム』で第48回江戸川乱歩賞を受賞し、デビューしました。
この方の著書は読んだことがなかったのですが、作品のタイトルが「面白そう!」という理由で衝動的に読んでみました。
広告代理店で勤務する主人公は、とあるビール商品のキャンペーンを担当。
そして、バイラルマーケティング(口コミ)を活用し、インターネットでビール商品の広告を拡散させ、大きな売上アップに成功します。
ここまでは良かったのですが、その商品の特設サイトを見た人複数が、閲覧直後、同時多発的に自殺をするという現象が勃発!
やがて、「呪いの広告」とさえ称されることになってしまいます。
この現象の責任を問われた主人公は、その謎を突き止めていく・・・という内容です。
ホラーミステリーのような展開でなかなか面白い。
過去、「呪いのビデオ」で大ブームを巻き起こしたホラー小説『リング』を思い出しました。
しかしながら、ラストに解明される「謎」がちょっと中途半端。
キャンペーン動画に流れていた曲に、「隠れメッセージ」のような音声が仕込まれており、その音声を聞き取ってしまった人が、パニックになり自殺を遂げるというのが種明かしでした。
そんなことで、パニックになって、死ぬほどの行動をとるのかな・・・という疑問が。
それまでの展開は面白かったのですが。
どうせなら、『リング』の貞子みたいに、もっとぶっ飛んでいた方が良かったんじゃないかなと感じました。
ストーリーは興味深く、ラストまで一気に読めただけに、「惜しい!あと一歩」という印象の作品ではありました。
こんな人におススメ!
・ナゾ解き要素のあるストーリーを楽しみたい人
・広告業界で働いている人
・鈴木光司の『リング』が好きな人
スポンサーリンク
読書日:2016年5月
サイト管理人の評価